
ゼファートーン(Zephyrtone)日本独占インタビュー Vol.1
日本ではNEXT InDoor独占によるインタビュー企画が続々と実現!
映画音楽からメジャー、インディペンデント・アーティストまで、インド音楽業界の最前線で活躍するアーティストたちに、ここだけしか聞けないことを聞いている。
そのため、最近は現地のインド人もアクセスするインド音楽サイトへと成長中。
Q1)ゼファートーン(Zephyrtone)は2015〜16年頃から活動しています。当時と現在を比べて、インドのインディペンデント音楽シーンで最も大きく変化したと感じることは何でしょうか?
インドのインディペンデント音楽シーンは、本当に大きく変わりました。
当時は先行きが見えないこともあり、この道を選ぶ勇気を持てない人がたくさんいました。インフラもほとんど整っておらず、必要な知識にアクセスする手段も限られていましたし、インディペンデント・アーティストとして持続可能なキャリアを築くための機会は、さらに少なかったと思います。
でも現在は大きく状況が変わっています。エージェンシーやレコードレーベル、音楽配信プラットフォームが増え、インターネットを通じて膨大な知識にもアクセスできるようになりました。その結果、より多くのアーティストが「音楽を仕事にする」ということを現実的なキャリアとして考えられるようになっています。
今では、あらゆるところにチャンスがあります。アクセスできるものも増え、シーンに対する理解も深まり、アーティストが自分自身のものを築いていける余地も広がりました。
インドのインディペンデント音楽を取り巻く環境が、ここまで成長したことは本当に素晴らしいと思います。
Q2)ゼファーが作詞とヴォーカル、サヤンがプロデュース、作曲、ミックス、マスタリングを担当していますが、現在はどのような流れで楽曲を制作していますか?
私たちの曲のほとんどは、完全に即興のジャムセッションから生まれています。最初から何かを計画して作ることはほとんどありません。
二人で座って演奏を始め、あとは流れに身を任せます。ひとつのアイデアから次のアイデアが生まれ、自然とメロディができて、そこに歌詞が加わっていく。そうして気がつけば、一曲が完成しています。
決まった公式もなければ、厳密な構成もありません。考えすぎることもなく、純粋に直感と二人のケミストリー、そしてフリースタイルから作っています。
そうした即興性があるからこそ、私たち自身にとって最もオーセンティックな音楽になるのだと思います。
Q3)現在のインドではヒップホップ、I-Pop、パンジャブ・ポップ、R&Bなどが急速に成長しています。そのなかで、インドのEDM/エレクトロ・シーンには、今後どのような可能性が残されていると思いますか?
インドにおけるEDMの黄金期は、2014年から2019年頃だったと思います。当時のシーンは非常に多様で、刺激的で、実験精神にもあふれていました。さまざまなサブジャンルがそれぞれの居場所とオーディエンスを獲得していた時代です。
現在は、その状況がかなり変わっています。エレクトロニック・ミュージックのシーンでは、ボリウッドとテクノが大きな存在になっていて、それ以外のEDMジャンルには、以前ほど出演機会や需要が与えられていません。
その結果、DJや音楽プロデューサーたちは、必ずしも自分たちが本当にやりたいわけではない音楽をプレイしたり、作ったりしなければならない状況に置かれることがあります。それが現在のマーケットから求められているからです。
これからシーンが再び変化して、もっと多様性や実験性が戻ってきてほしいですね。アーティストが「求められている音楽」だけではなく、「自分が本当に愛している音楽」をプレイできる場所が増えてほしいと思っています。
Q4)「Back 2 U」はどのようにして生まれた曲なのでしょうか? また、サウンドや歌詞で特に注目してほしいポイントはありますか?
「Back 2 U」はエレクトロニック・ポップの楽曲で、私たちにとってかなりパーソナルな背景を持った曲です。
この曲をレコーディングしたのは、ツアー中のホテルの一室でした。手元にあったのはマイクとオーディオインターフェース、そしてノートパソコンだけです。
そのとき生まれたアイデアが消えてしまう前に、とにかく形に残しておきたかった。そんな瞬間から始まりました。その小さなホテルの部屋で録音したものが、最終的に一曲の作品として完成したことをとてもうれしく思っています。
サウンドとしては、エレクトロニック・ポップと深夜に感じるノスタルジーの中間にあるような曲です。その中心には、とてもシンプルでエモーショナルな感情があります。そこにリスナーの皆さんも共感してもらえたらと思っています。
Q5)MTV EMAに2年連続でノミネートされるなど国際的な評価も受けています。それでも「インド発のエレクトロニック・ポップ」を世界へ届けるうえで、壁を感じることはありますか?
はい。私たちのサウンドを世界に届けようとすると、今でもさまざまな課題があります。その大きな要因のひとつが、残念ながら「自分たちがどこの国から来たのか」ということです。
インド出身のアーティストが海外でどのように見られ、どのようなサポートを受けられるのかという点では、今も明確なギャップがあると感じています。
多くの場合、欧米の人たちが関心を示してくれるのは、そこに彼らにとってのメリットや商業的な価値が存在するときです。
率直に言えば、音楽業界は「ギブ・アンド・テイク」で成り立っている世界です。もちろん才能は重要ですが、それだけではありません。コネクションやチャンス、市場価値、そして自分が相手に何を提供できるのかということも重要になります。
インドの外へ自分たちの音楽を届けようと活動してきたなかで、それが私たちの実感してきた現実です。

【ゼファートーン/Zephyrtone】
ゼファーとサヤンによるインドのエレクトロニック・ポップ・デュオ。2010年代半ばから活動を続け、EDMを軸に、ポップ、エレクトロニカなどを融合したメロディアスなサウンドでインドのインディペンデント・シーンから頭角を現してきた。Zephyrがヴォーカルと作詞、Sayanがプロデュース、作曲、ミックス、マスタリングを担い、二人の役割を生かした楽曲制作を続けている。インド国内にとどまらず海外からも注目を集め、MTV Europe Music Awards(MTV EMA)で2年連続ノミネートを果たすなど、インド発のエレクトロニック・アクトとして国際的な評価を獲得。エネルギッシュなEDMと親しみやすいポップ・メロディを結びつける一方、アニメや漫画から影響を受けたビジュアルを作品に取り入れるなど、音楽とアートワークの両面から独自の世界観を構築してきた。近年もライブや楽曲制作を精力的に展開し、「HYBE INDIA POP UP PARK」にも出演。最新曲「Back 2 U」では、ツアー中のホテルで生まれたアイデアを起点に、エレクトロニック・ポップと深夜のノスタルジーが交差するエモーショナルなサウンドを提示している。インドのEDMシーンが大きく変化するなかでも、自分たちが愛する“リアルなEDM”を追求し続けるデュオだ。


