
アシャ・ボスレの誕生日にラフマーンが追悼曲「Asha Forever」を発表
2026年4月に92歳で亡くなったインド音楽界のレジェンド、アシャ・ボスレ(Asha Bhosle)。彼女の93回目の誕生日にあたる9月8日に発表されたのが、A.R.ラフマーンによる追悼曲「Asha Forever」だ。
アーシャが生前にラフマーンと録音していた音源をもとに完成させた作品で、孫でシンガーのザナイ・ボスレ(Zanai Bhosle)も追加ヴォーカルで参加。作詞はプリータムとの共同作品がお馴染みのアミターブ・バッタチャリヤ(Amitabh Bhattacharya)が手掛けている。
5分を超える楽曲は、単純に過去を懐かしむ追悼歌にはなっていない。シタール、ギター、ストリングス、ブラス、アップライト・ベースなど多数の生楽器を投入し、オーケストラとジャズの感覚を融合。アシャの歌声を中心に置きながら、ラフマーンらしい壮大な音像へと広げていく。ロンドンのTrinity Laban Conservatoireのミュージシャンも参加しており、インド映画音楽の枠を超えて活動してきたアーシャのキャリアそのものを祝福するようなスケール感がある。
さらに象徴的なのが、アシャから孫のザナイへと歌声が受け継がれていく構成だ。単なる「偉大な歌手への追悼」ではなく、アーシャの声が次世代へ残り続けることまで含めて“Forever”と表現しているように聴こえる。1940年代から80年以上にわたってインド音楽の変化を歌い続けたアーシャと、90年代以降のインド音楽を世界へ押し広げてきたラフマーン。その二人の世代を超えた共演が、結果的に最後の時代へと刻まれることになった、非常に感慨深い一曲だ。


