• HOME
  • インタビュー
  • ★『冴えないボクと映えるキミ』公開記念!ヴィジャイナライン(Vijaynarain)日本独占インタビュー!!

★『冴えないボクと映えるキミ』公開記念!ヴィジャイナライン(Vijaynarain)日本独占インタビュー!!

Q1)『冴えないボクと映えるキミ』のサウンドトラックでは、「Aiyo Kadhaley」がとても印象的でした。この曲の魅力や聴きどころを、歌い手の視点から教えてください。

「Aiyo Kadhaley」では、学生時代の恋愛が持つシンプルで純粋な感覚が、ショーン・ロールダン(Sean Roldan)のメロディとモーハン・ラージ(Mohan Raj)の歌詞によって、とても美しく表現されていると思います。

キャッチーなフックとアレンジも相まって、一度聴いたら耳から離れない曲になっています。それに、映画の中でこの曲が流れる場面自体も、とても楽しくエンターテインメント性にあふれています。そうした映像との組み合わせも、この曲の魅力をさらに引き出していると思います。

この曲を歌うことができて本当にうれしいですし、作品が日本でも公開されたことにワクワクしています。

Q2)これまで映画の楽曲を歌うシンガーは「プレイバック・シンガー」という言葉でひと括りにされることが一般的でした。しかし近年では、その多くがアーティストとしてインディペンデントな活動を始めています。今後は「プレイバック・シンガー」という呼称自体がなくなり、アーティストが映画音楽にも参加する、という考え方へ変化していく時代になるのではないかと考えています。この変化について、どのように感じていますか?

これはポジティブな変化だと思いますし、ずっと必要とされていた変化でもあると思います。

従来の「プレイバック・シンガー」は、歌う機会を得るうえで、どうしても作曲家に依存する部分がありました。しかし現在では、メインストリームの映画音楽以外にも、SNSやYouTubeをはじめ、リスナーへ音楽を届けるための手段がいくつも存在しています。

そのため、シンガー自身が作曲家になることもできますし、オンラインでつながったさまざまなジャンルのアーティストに自ら声をかけ、コラボレーションすることもできます。こうした環境は、アーティスト同士のコラボレーションを促すと同時に、音楽を取り巻く状況そのものも変えていると思います。

映画から良い音楽が生まれるのを待つのではなく、自分たちでクリエイティビティを追求していく。そんな方向へ変化しているのだと思います。

Q3)小学2年生の頃から音楽に親しんできたそうですが、これまでの音楽活動の中で、最も難しいと感じてきたことは何でしょうか?

自分自身のクリエイティブな表現と、楽曲をヒットさせるために求められる商業的な期待。その両方のバランスをうまく取ることが、最大の難しさだと思います。

成功するためにはメロディだけではなく、歌詞やアレンジ、さらにどのプラットフォームから楽曲をリリースするのかまで、すべてがうまく噛み合わなければなりません。

それに加えて、レーベルやプロダクションによるマーケティングのサポートがあれば、これまで届かなかった新しいリスナーに楽曲を知ってもらう助けになります。そして一度発見してもらえれば、その曲をどう受け止めるのかはリスナーに委ねられます。

「コンテンツ」よりも「アート」を優先し続けること。それが常に向き合っている課題です。

Q4)『Vaa Vaathiyaar』や『カルキ 2898-AD』などの楽曲でサントーシュ・ナーラーヤナン(Santhosh Narayanan)とは頻繁にコラボレーションされていますが、彼はあなたにとってメンターのような存在なのでしょうか?

サントーシュ・ナーラーヤナンは、間違いなく僕の音楽キャリアにおいて非常に重要な存在です。「Ei Suzhali」や「Karkuzhal Kadavaiye」をはじめ、彼が手がけた数々のヒット曲を僕に任せ、歌う機会を与えてくれました。

僕自身、彼の音楽から大きな影響を受けています。自分たちのルーツにしっかりと根差した音楽を作りながら、同時にユニークなプロダクション技法やサウンドを積極的に探求していく。その姿勢にも強く刺激を受けています。

Q5)2026年だけを見ても、『29』の「Nenjagathi」や『Gatta Kusthi 2』の「Magaraasi」などでショーン・ロールダンとタッグを組んでいます。あなたから見て、ショーンの音楽にはどのような魅力があると思いますか?

僕は15年ほど前、ショーンがインディペンデントで活動していた頃から彼の大ファンでした。だから、こうした作品で一緒に仕事をする機会を得られたことは、まさに夢が叶ったような経験です。

ショーンは作曲、特にメロディとハーモニーに対して非常に独自のアプローチを持っています。それに彼自身が素晴らしいシンガーでもあります。

そのためレコーディングも、とても楽しくリラックスしたものになります。彼自身が歌えるからこそ、シンガーに何を求めているのかを的確に伝えることができるんです。

彼の最大の強みは、やはりメロディを生み出すクリエイティビティだと思います。それこそが、彼の音楽が多くの人の心に響く理由なのではないでしょうか。

それから、彼はユーモアのセンスも抜群です(笑)。

Q6.あなたの音楽スタイルに最も大きな影響を与えたアーティストは誰ですか?

子どもの頃から最も大きな影響を受けてきたのは、A.R.ラフマーン(A.R. Rahman)です。

僕が音楽を本気でキャリアとして考えるようになった最大の理由も、彼の音楽でした。数え切れないほど多くの楽曲から刺激を受けてきました。

ほかには、イライヤラージャ(Ilaiyaraaja)、ジョン・メイヤー(John Mayer)、ニック・ドレイク(Nick Drake)、スティング(Sting)、メヘディ・ハッサン(Mehdi Hassan)からも影響を受けています。

Q7)映画音楽以外にも「Oora Paaka」や「Rayil Pogum Idam」などの楽曲を発表しています。自分自身の音楽を作る際に、最も大切にしていることは何でしょうか?

オリジナルの音楽を作るとき、僕が最も大切にしているのは「クリエイティブな自由」です。

つまり、何かに制約されることなく、自分の心に近いテーマについて自由に曲を作れることです。

それは今挙げてくれた楽曲にも表れていますし、最近I-Popstarタミルの企画からリリースした「Keralanaadu」のような楽しい曲にも表れています。この曲では、タミル・ナードゥとケーララの間で繰り広げられる遊び心のある掛け合いを通して、自分のウィットやユーモラスな一面を探求することができました。

Q8)今後コラボレーションしてみたいアーティストはいますか? インド国外のアーティストでも構いません。

A.R.ラフマーンと一緒に曲を作ることができたらうれしいですね。それから、ジョン・メイヤーともぜひ共演してみたいです。

また、ひとりのリスナーとして世界中を旅し、それぞれの国でどのような音楽が演奏されているのか、実際に体験してみたいと思っています。

その意味でも、僕は以前から日本のジャズ・シーンにとても興味を持っています。いつか日本を訪れて、実際にライブで体験してみたいですね。

Q9)日本のリスナーへメッセージをお願いします。

『冴えないボクと映えるキミ』をはじめとするタミル映画が日本で公開され、日本の観客の皆さんから温かく迎えられていることを、本当にうれしく思っています。

僕たちの文化や音楽に心を開き、受け入れてくださってありがとうございます。これから、お互いにコラボレーションできる方法を見つけていけたらと思っています。

いつか日本を訪れ、皆さんの前で自分の音楽を演奏したいです。その夢が実現する日を心から楽しみにしています。

ヴィジャイナライン/Vijaynarain

インドとオーストラリアを拠点に活動するシンガーソングライター、作曲家。タミル映画音楽を中心にプレイバック・シンガーとして数々の作品に参加する一方、近年は自身で作曲を手がけるインディペンデント・アーティストとしても存在感を高めている。幼少期から音楽に親しみ、A.R.ラフマーンに強い影響を受けて音楽の道を志す。大学卒業後にはタミル・ロックバンドを結成し、音楽コンテストに参加。その後、人気オーディション番組『Airtel Super Singer』への出演や、A.R.ラフマーン作品でのバックボーカルなどを経験した。キャリアの大きな転機となったのが、サントーシュ・ナーラーヤナン(Santhosh Narayanan)との出会いだった。2010年代半ばから本格的に映画音楽の世界へ進出し、『Irudhi Suttru』の「Maya Visai」、『Manithan』の「Poi Vazhva」を経て、ダヌシュ主演『Kodi』(2016)の「Ei Suzhali」で広く注目を集める。その後も『Vada Chennai』の「Kaarkuzhal Kadavaiye」、『Kalki 2898 AD』の「Bhairava Anthem」、『Meiyazhagan』の「Poraen Naa Poraen」など、話題作の楽曲に参加してきた。なかでもサントーシュ・ナラヤナンとは長年にわたってコラボレーションを重ねており、その一方でショーン・ロルダン(Sean Roldan)らさまざまな作曲家の作品にも参加。2026年には、日本でも公開された映画『冴えないボクと映えるキミ』でショーン・ロールダンが作曲した「Aiyo Kadhaley」を歌い、キャッチーで温かみのある歌声を披露した。2026年には『Gatta Kusthi 2』の「Magaraasi」にも参加している。また、映画のために歌うだけではなく、自ら楽曲を生み出すシンガーソングライターとしての活動も重要な柱となっている。「Yedho Maayam」「Oora Paaka Poren」「Rayil Pogum Idam」「Konjamachum」「Keralanaadu」などのオリジナル曲を発表。インド音楽のメロディを軸に、カントリー、ブルース、アコースティック・ロック、R&Bなどを横断するスタイルを持ち、自身の音楽を「Tamil-Grass/Country」と表現するなど、映画音楽とは異なる独自のサウンドを追求している。プレイバック・シンガー、作曲家、そしてインディペンデント・アーティストという複数の顔を行き来するVijaynarain。そのキャリアは、映画への依存から離れ、シンガー自身が作曲や発信まで担うようになった現在のインド音楽シーンの変化を象徴するものでもある。

関連記事一覧