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ついに完成!Dee MC × ラウデン、ヒップホップと自身のルーツへ立ち返る共同プロジェクト・アルバム

デシ・ヒップホップを代表する女性ラッパーのひとり、Dee MCが、プロデューサーのラウデン(Louden)と本格的な共同プロジェクトを展開してきたが、その集大成となるアルバム『Malayadee』がリリースされ、アルバムのタイトルにもなっているリードソング「Malayadee」のミュージックビデオも公開された。

二人のコラボレーションで特徴的なのは、現在のインドでも主流となっているトラップやポップ・ラップへ安易に寄せるのではなく、ブーンバップをはじめとするオールドスクール・ヒップホップの感触を強く打ち出していることだ。「You Heard」や「BADDER」などでは、硬質なビートとDee MCのストレートなラップを前面に配置。余計な装飾を削ぎ落とし、「MCがビートの上で言葉を聞かせる」というヒップホップの基本へ立ち返るようなサウンドを作り上げている。

ラウデンは単発でビートを提供するプロデューサーというより、現在のDee MCが目指す方向性を共有するパートナーといった印象が強い。二人はフル・スタジオ・アルバムへとつながる共同制作を進めており、一連の楽曲を追っていくことで、Dee MCのキャリアにおける新しいフェーズが見えてくる。

そして、もうひとつ重要なのが「ルーツ」というキーワードだ。

ムンバイのヒップホップ・シーンを中心に長年活動してきたDee MCだが、近年は自身のバックグラウンドであるケーララ、そしてマラヤーラム語をこれまで以上に積極的に音楽へ取り込んでいる。「Ishtam」ではマラヤーラム語、ヒンディー語、英語を横断し、その後の「Black Gold」「Kilukkam」などでも、自身の文化的アイデンティティとヒップホップを結びつける方向をさらに押し進めた。

ここがDee MC × ラウデンのプロジェクトが興味深い部分であり、サウンド面ではブーンバップなどを通じて「ヒップホップの原点」へ向かい、リリックや言語の面ではケーララ/マラヤーラムという「Dee MC自身の原点」へ向かう。つまり二人の共同制作には、二重の意味での原点回帰が存在している。

Dee MCはインドにおけるヒップホップ黎明期から活動し、男性中心だったシーンの中で女性MCとして存在感を示してきたアーティストだ。それだけに、キャリアを重ねた現在の彼女が単純に流行を追うのではなく、自分がなぜヒップホップを始めたのか、そして自分はどこから来たのかを改めて音楽へ落とし込んでいることには大きな意味がある。

現在のインドでは、ヒンディー語やパンジャブ語だけでなく、タミル語、テルグ語、マラヤーラム語をはじめとする地域言語のヒップホップが急速に存在感を増している。そんな時代に、すでに全国的なインディアン・ヒップホップの歴史を経験してきたDee MCが、自らのマラヤーラム・ルーツを再発見しているのも興味深い。

Dee MC × Loudenの共同プロジェクトは、単なるオールドスクール・ヒップホップへの回帰ではない。ヒップホップの原点とDee MC自身の文化的原点という二つの「ルーツ」を結び直し、キャリアの第二章を作ろうとするプロジェクトなのだ。 長年Dee MCを追ってきたリスナーにとっても、現在のインドにおける地域言語ヒップホップの広がりを知るうえでも、完成形となるアルバムがついにリリースされたのだ。

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