
シュレヤ・ジャイン新作アルバムからの先行リリース「Jiya Mora」を発表
インド古典音楽をバックグラウンドに持ちながら、インディーポップやエレクトロニックへと接続してきたシュレヤ・ジャイン(Shreya Jain)が、新曲「Jiya Mora」を2026年8月27日にリリースした。シュバム・シルレ(Shubham Shirule)との作品で、今後展開されるEP『Jogan』からの第1弾先行シングルにあたる。
「Jiya Mora」でまず耳を引くのは、インド古典音楽の要素を単なる装飾として使うのではなく、楽曲の中心に置きながら現代的なポップへ変換していることだ。
シュレヤは5歳からヒンドゥスターニー古典音楽を学んできたシンガーで、父親のシャーム・ジャイン(Shyam Jain)もヒンドゥスターニー古典音楽の声楽家。そのルーツは彼女の音楽に一貫して流れているが、「Jiya Mora」では古典音楽をそのまま提示するのではなく、電子的なプロダクションと融合。伝統と現代のどちらかへ振り切るのではなく、その中間にある独特な空間を作り出している。
特に重要なのがシュレヤのヴォーカルだ。ポップシンガー的なストレートな歌唱だけではなく、細かな音程の揺れや装飾を取り入れることで、メロディそのものにインド古典音楽ならではのニュアンスを与えている。一方、バックトラックは非常に現代的。ヴォーカルの伝統的な響きとエレクトロニックな音像とのコントラストが、この曲の最大の魅力になっている。
シュレヤはこれまでも、古典的な歌唱と現代のインディーポップを結びつけてきた。2024年のEP『Bawari』収録曲「Kaahe」などでも、「mora」「jiya」「manwa」「naina」といった、現代の日常的なヒンディー・ポップとは少し異なる古典的・詩的な語彙を用いながら、それを若い世代にも届くポップミュージックとして提示している。「Jiya Mora」というタイトル自体も、そうした彼女の世界観の延長線上にある。
ディペンデント音楽における一つの潮流とも重なることだ。西洋的なポップやR&Bをそのまま模倣するのでも、伝統音楽へ回帰するのでもない。自分たちが持っている古典音楽の語彙を、エレクトロニック、アンビエント、インディーポップなど現在のサウンドデザインによって再構築する。「Jiya Mora」も、まさにそのタイプの作品といえる。
映画『Attack』(2022年)では「Bomb!」「Crazy Now」など3曲を歌い、ボリウッドのプレイバックシンガーとしても活動してきたシュレヤだが、現在の自主制作では、それとは異なる個性がより鮮明になっている。
派手なボリウッド・ナンバーでもなければ、純粋なヒンドゥスターニー古典音楽でもない。「Jiya Mora」は、古典音楽を幼い頃から身体に染み込ませてきた新世代のアーティストが、それを2020年代のインディーポップとして自然に鳴らした一曲だ。


