
サブカル大好き俳優テージャ・サッジャーだからこそ醸し出せるヒーローの風格!『Mirai 運命の戦士』
映画秘宝9月号に掲載されたレビューと同じものです。
『ハヌ・マン』(2024年)や『Zombie Reddy』(2021年)など、主演作品の続編企画がいくつか控えているテージャ・サッジャーが、また新たなユニバースの主人公として参加することになったのが、今作『Mirai 運命の戦士』であり、日本でも8月21日より劇場公開される。
基本的にはヒンドゥー神話と叙事詩を下敷きとしたアクション・アドベンチャーであるが、香港映画やアメコミ映画、日本アニメの要素も色濃く反映されており、サッジャーはサブカルチャーへの造詣が深いこともあって、ヒーローとしての立ち振る舞いや佇まいに、その素養が自然と表れていた。警察が極端におバカに描かれていたのもアニメっぽくもあり、香港映画っぽくもあり……。
アメコミを意識したヒーロー作品は、2000年代後半~10年代後半頃にかけても頻繁に企画されていたが、VFXの技術が付いていかず破綻したものも多かったし、思い切って公開したものの、『Adipurush』(2023年)のようにプレステ3ぐらいの映像レベルで粗が目立ってしまうことも多々あった。
その点でいえば、今作はVFXをPRのひとつとしているだけのことはあり、ほとんど違和感がなく、ここ数年での技術進化の早さには驚かされるばかりだ。インドという国は、10位や20位の位置にいたかと思うと、まだまだ~とか思っていると、すっかり抜かされて、何なら上位3位以内ぐらいにいたなんてことがよくあるのだから、まだまだ油断ならない。ただ、スピード感はもう少し欲しかったところ。
すでに今作においても続編製作が予定されているらしいのだが、そもそも今作だけで完結させる気など到底ないと思わせる構成で、プロローグ的な内容に落ち着いている。『ブラフマートラ』(2022年)のように、風呂敷を広げるだけ広げておいて、結局、制作されるのかもわからない作品は、近年連発しているように思えるし、『Lokah Chapter 1: Chandra』(2025年)なんかもヒットしたとはいえ心配な部分もあったりする。今作は大丈夫だろか……。
キャスティングとして興味深かったのは、ターニャ・ケリーがヴィラン役で出演していたことだ。ターニャは『ミズ・マーベル』(2022年)や『エイリアン:アース』(2025年)などでスタントを務めており、俳優としては、出演作がそれほど多いわけでもないが、タイの短編映画『Garena Free Fire Undefeated』(2021)でも存在感を残していたが、おそらくターニャにとってこれまでで最も個性を発揮できた役ではないだろうか。


