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ラシュミート・カウル(Rashmeet Kaur) セカンド・アルバム『PARINDA』リリース!!

「Nadiyon Paar」や「Ishq Nachaawe」など、映画音楽の世界でも強烈な存在感を放ってきたラシュミート・カウル(Rashmeet Kaur)。パンジャブ民謡やスーフィー音楽をルーツに持ちながら、ヒップホップ、R&B、エレクトロまで自在に横断してきた彼女が、8曲入りのセカンド・アルバム『PARINDA』を発表した。

ラシュミートの魅力は、伝統音楽を単純に現代風へアレンジするのではなく、自身の声そのものを媒介として、古いものと新しいものを自然に共存させてしまうところにある。幼少期から古典音楽を学び、パンジャブのスーフィー詩人からも影響を受けてきた一方、これまでメジャー・レイザー、ニュクレヤ(Nucleya)、ラフタール(Raftaar)、カラン・カッチャン(Karan Kanchan)、Gurbaxなど、現代インドのクラブ/ヒップホップ・シーンを象徴するアーティストとも積極的に共演してきた。

その両面性が『PARINDA』では、これまで以上に“ラシュミート自身の音楽”として整理されている。

象徴的なのが「Jogi Naal」だ。パンジャブ音楽やスーフィー音楽を思わせる旋律と歌唱を軸にしながら、音像は決して懐古的ではない。民族的な響きを過剰に装飾するのではなく、余白を生かした現代的なプロダクションのなかで、ラシュミートの少しハスキーで力強い歌声を前面へ押し出している。彼女が2026年にIndo Warehouseと発表した「Chor」でも、南アジアの伝統的表現とアンダーグラウンドな電子音楽を接続していたが、その実験性は『PARINDA』にもつながっている。

重要なのは、ここで“フュージョン”そのものを売りにしていないことだろう。インドの伝統音楽+西洋のポップスという足し算ではなく、それらが最初から彼女の身体のなかに存在しているかのように鳴っている。そのため、フォーク、スーフィー、ジャズ、R&B、ソウル、ポップといった複数の要素が現れても、アルバムとしての統一感が失われない。実際、近年の彼女自身も、こうしたジャンルを横断するアーティストとして評価されている。

タイトルの「Parinda」はヒンディー語やウルドゥー語などで「鳥」を意味する言葉だが、本作を聴いていると、それはラシュミート自身を象徴しているようにも感じられる。プレイバック・シンガー、パンジャブ系ポップシンガー、フォーク/スーフィー歌手といったカテゴリーのどれか一つに収まるのではなく、そこから自由に飛び出そうとしているのだ。

Kaise Kahoon」では、ハリヤーナー州出身のフィメール・ラッパーで、MTV「ハッスル」シーズン5からメンターとして出演しているアグジー(Agsy)とのコラボも実現した。

2024年の『KAURA (Aura Of Kaur)』が、多数のプロデューサーやアーティストを迎えながら自身の可能性を拡張した作品だったとすれば、『PARINDA』は、その経験を経たラシュミートが「自分は何者なのか」をより明確に提示した作品といえる。『KAURA』以降も「Faqeeran」やIndo Warehouseとの「Chor」、COLORSで披露した「Ve Sajjna」などを通して、自身のルーツと世界の最新サウンドを結び続けてきた。

近年のインド音楽は、ヒップホップやパンジャブ・ポップを中心に急速なグローバル化が進んでいる。しかし『PARINDA』がおもしろいのは、欧米のポップスへ近づくことだけを“世界進出”とは考えていない点だ。むしろ自分自身のルーツへ深く潜り込み、それを現代のサウンドへ置き換えることで、どこの国にも存在しないポップミュージックを作ろうとしている。

伝統を捨てることで自由になるのではなく、伝統を抱えたまま自由に飛ぶ。

『PARINDA』は、そんな現在のラシュミート・カウルを象徴するタイトルであり、インドの新世代ポップが向かう方向の一つを示したアルバムでもある。

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