
北東インドの言葉とヒンディー・ポップが溶け合う、リト・リバ&ハンシカ・パリーク「AYANAM (Mi Amore)」
アルナーチャル・プラデーシュ州出身のシンガーソングライター、リト・リバ(Rito Riba)と、近年ヒンディー映画/I-Popの双方で存在感を高めているハンシカ・パリーク(Hansika Pareek)が共演した「AYANAM (Mi Amore)」がリリースされた。
最大のポイントは、単なるヒンディー語のラブソングではなく、リト・リバのルーツであるアルナーチャル・プラデーシュの言語文化を現代のI-Popへ持ち込んでいることだ。
楽曲の冒頭から「Oh Aya Nam」「Dinchi Be Ngok Miname」といったヒンディー語とは異なる言葉が登場する。公開されている歌詞情報では、この曲はヒンディー語とガロ語を組み合わせた作品とされている。ガロ語はリトの故郷アルナーチャル・プラデーシュで話される言語のひとつであり、「Ayanam」を繰り返すフックが曲そのもののアイデンティティになっている。
そこから「なぜ自分の道は君の家へとつながっているのだろう」「君のいない場所ではもう心が安らがない」といったヒンディー語のパートへ移行。恋人との出会いによって孤独だった世界が変わり、相手こそが自分の居場所になっていくという、非常にストレートな恋愛を描いている。
そしてリト・リバの素朴で温かみのある声に対して、ハンシカ・パリークの柔らかく透明感のあるヴォーカルが応える。男性側だけの一方的なラブソングではなく、途中から女性側も「私もあなたのものになった」と気持ちを返すことで、二人の関係が完成していく構成だ。
ハンシカは近年、映画『Saiyaara』の「Tum Ho Toh」をはじめ、ダルシャン・ラヴァル(Darshan Raval)、アディティヤ・ガドヴィ(Aditya Gadhvi)との「Sajna」などにも参加。インディーと映画音楽の境界を行き来する新世代シンガーとして活動を広げている。
一方、リト・リバにとって「AYANAM」は、自身のルーツをより強く打ち出した作品として捉えることができる。ヒンディー語だけで完結させず、北東インドの言葉をフックの中心へ配置しながら、それを誰でも口ずさめる現代的なポップ・バラードへ変換している。
地域の言葉を「民族音楽」として切り離すのではなく、そのまま現代のI-Popのフックとして使う。「AYANAM (Mi Amore)」は、リト・リバとハンシカ・パリークによる美しいラブソングであると同時に、インド・ポップが持つ言語的な多様性を改めて感じさせる一曲となっている。


