• HOME
  • インタビュー
  • ★『ドゥランダル作戦』公開記念★音楽監督シャーシュワト・サチデーヴ日本メディア独占インタビュー!!

★『ドゥランダル作戦』公開記念★音楽監督シャーシュワト・サチデーヴ日本メディア独占インタビュー!!

7月10日から日本でも公開される『ドゥランダル作戦/Dhurandhar』

今作が2025年に公開されたインド映画として、記録的大ヒットとなった背景には、若い世代にも映画館へ足を運ばせるきっかけとなった、画期的な音楽センスは、切っても切り離せない。

この度、その音楽監督を務めたシャーシュワト・サチデーヴ(Shashwat Sachdev)*日本公式の表記に合わせています*の日本メディア独占イタビューが実現!!

というのも、日本配給を通したインタビューではなく、当サイト独自の取材交渉の末に実現したからだ。

そしてこれは、その始まりに過ぎない…….。

Q1. 今回のアルバムはLPコレクターズ・ボックス仕様で発売されました。以前『炎』や『DDLJ 勇者は花嫁を奪う』でもコレクターズ・ボックスは発売されましたが、近年の映画音楽作品としては珍しい試みだと思います。このことについてどう感じていますか?

シャーシュワト)
正直、とても光栄ですし、うれしく思っています。

音楽が実際に手に取れる「モノ」として存在することには、特別な美しさがあります。人はそれを手元に置き、いつでも取り出し、何度でも聴き返すことができます。LPには、その人自身の思い出が刻まれていく。だからこそ、デジタルとは違い、簡単に消費されて終わるものではないと感じています。

とはいえ、私はこうした結果を期待して音楽を作っているわけではありません。スタジオに入るときは、フォーマットや記録、コレクターズ・アイテムになるかどうかなどは考えません。常に作品、感情、そして登場人物たちの世界に、できる限り誠実に向き合うことだけを大切にしています。その先に今回のような形で作品が新しい命を得られたのなら、とても感謝しています。でも、音楽を作るときの純粋な気持ちは、決して変わってはいけないと思っています。

Q2. 『ドゥランダル作戦』2部作の音楽制作に参加することになった経緯を教えてください。

シャーシュワト)
私は映画そのものとの出会いを通じて『Dhurandhar』2部作に参加しました。

惹かれたのは作品のスケールだけではなく、その作品が持つ「気質」のようなものです。映画には、ただ楽曲が必要な作品もあれば、音楽が作品の血液のように流れていなければ成立しない作品もあります。この映画はまさに後者でした。

作品のトーンを理解したあと、その緊張感や重厚さを音でも表現したいと思いました。パンジャブのエネルギー、映画ならではの攻撃性、リズム、歌声――そのすべてが映画の内側から自然に湧き出てくるものでなければならない。音楽だけが浮いて聞こえてはいけないのです。

だから私の仕事は、まず映画の世界に耳を傾け、その世界の中で音楽が自然と居場所を見つけられるようにすることでした。

Q3. 『ドゥランダル作戦』で手掛けた楽曲について、リスナーに注目してほしい点や特にこだわった部分はありますか?

シャーシュワト)
私たちは単に「良い曲」を作ろうとしていたわけではありません。登場人物たちが持つ価値観や信念を、楽曲の中に織り込むことを大切にしていました。

リズムや歌詞、歌声、さらには「間」の取り方に至るまで、映画そのものの人格が宿るような曲にしたかったのです。

パンジャブらしい色彩とヒップホップのエネルギーも、無理に貼り付けたようなものではなく、同じ場所から自然に生まれたものとして感じられるよう心掛けました。

まずは純粋に楽曲を楽しんでもらい、そのうえで、この音楽が登場人物や彼らが生きる世界について何かを語っていると感じてもらえたらうれしいです。

Q4. パンジャブ音楽とヒップホップの相性についてはどう思いますか?

シャーシュワト)
私は、とても相性が良いと思っています。

パンジャブ音楽には昔からリズム、誇り、アイデンティティ、そして身体性との強い結びつきがあります。一方でヒップホップも、自分のルーツや共同体、自分自身の言葉で真実を語ることから生まれた音楽です。

だから両者が誠実に出会えば、ごく自然に融合します。

単に流行だからといってパンジャブ風のフックをビートに乗せるだけでは意味がありません。大切なのは精神性です。

どちらの音楽も「自分はどこから来たのか」を堂々と表現するものだからこそ、互いに深く響き合うのだと思います。

Q5. 曲作りをするうえで、最も大切にしていることは何ですか?

シャーシュワト)
私にとって一番大切なのは「意図」です。

メロディやアレンジ、プロダクション以前に、「なぜこの曲は存在しなければならないのか」を理解したいのです。この曲は登場人物を描くためなのか、記憶なのか、傷なのか、祝福なのか、それとも反抗なのか。

そこが明確になれば、技術的な部分も自然と見えてきます。

もちろん私は音楽の技術的な側面も大好きですが、それだけでは曲に命を吹き込むことはできません。まず感情的な必然性が本物でなければならない。その上で初めて、音色や歌声、構成、そして聴き手は意識しなくても無意識に感じ取るような細かな要素を磨いていくことができるのです。

Q6. これまでの音楽人生で、最も大変だったことは何ですか?

シャーシュワト)
私の家族には音楽関係者はいませんし、映画業界とも縁がありませんでした。

だから大変だったのは、音楽や業界について学ぶことだけではありません。自分が生まれ育った文化とは異なる世界に入り込みながら、それでも自分自身を見失わずにいることでした。

生まれ育った環境を飛び出し、ムンバイの映画文化の一員になるまでには長い時間がかかりました。

外から来た人間には、最初から道しるべなどありません。観察し、失敗し、学び、自分なりの規律を築いていくしかないのです。

大変な道のりでしたが、その経験が私に強いハングリー精神を与え、仕事そのものの価値をより深く理解させてくれました。

Q7. デシ・ヒップホップは日本ではまだあまり知られていません。日本のリスナーにその魅力を教えてください。

シャーシュワト)
私にとってデシ・ヒップホップの魅力は、とても現代的でありながら、同時に自分たちのルーツに深く根差していることです。

世界のヒップホップが持つエネルギーを受け継ぎながらも、その言葉やアクセント、民俗的な記憶、ストリートのユーモア、リズム、感情は、紛れもなくインドのものです。

インドには数多くの言語や方言があります。そのためデシ・ヒップホップは、「さまざまなインド」が同時に語りかけてくる音楽でもあります。

たとえ日本のリスナーが最初は歌詞をすべて理解できなくても、フロウやグルーヴ、空気感、個性はきっと感じ取れるでしょう。

まだ若いカルチャーですが、その内側には長い歴史と記憶が息づいています。それこそが、この音楽の何よりの魅力だと思います。

Q8. 以前はDee MCと仕事をされましたが、今回はレベル(Rebel)を起用していました。フィメールラッパーの魅力についてどう考えていますか?

シャーシュワト)
フィメールラッパーは、長い時間をかけて音楽の景色そのものを変えてきた存在だと思います。ラップだけでなくポップ・ミュージック全体を見ても、近年もっとも刺激的な変化の多くは女性たちによってもたらされました。

彼女たちはリズムや表現、言葉の使い方、そして作品が持つ感情の幅まで変えてきました。

それは私にとって大きな刺激です。女性ラッパーと仕事をするのが好きなのは、彼女たちの声が単なる音色や装飾ではなく、自分自身の視点や作家性を伴っているからです。

以前のDee MCもそうでしたし、今回のレベル(Rebel)にも、その強いエネルギーを感じました。作曲家としても自然と向き合い方が変わります。ただ声に合わせてトラックを作るのではなく、一人の人間、その個性を中心に音楽を組み立てていく感覚になります。

Q9. 日本にはどのようなイメージを持っていますか? また、日本の音楽は聴きますか?


シャーシュワト)

私は日本が大好きです。

妻と一緒にずっと日本を訪れたいと思っています。

日本の文化には特別な魅力を感じています。規律、美意識の中にある清潔さ、そして職人技への敬意……そうした価値観に強く惹かれます。

日本の美術やデザイン、レコーディング・エンジニアリングに至るまで、その細部へのこだわりにはいつも刺激を受けています。

日本の音楽について専門家だとは言えませんが、日本ならではの音作りや空間の使い方、余白を大切にする美学には非常に興味があります。

観光だけでなく、しばらく滞在してソングライティング・キャンプを行ってみたいとも思っています。日本のミュージシャンやエンジニア、プロデューサー、クリエイターたちと一緒に制作し、彼らがどのように音を聴いているのかを学びたい。その経験はきっと私自身の楽曲制作にも新しい変化をもたらしてくれるはずです。

シャーシュワト・サチデーヴ/Shashwat Sachdev

シャーシュワット・サチデーヴ(SHA)は、インドのムンバイを拠点とする、国家賞を受賞した作曲家兼音楽プロデューサー。ジャイプール生まれの彼は、3歳の頃から音楽を学び始め、最初はヒンドゥスターニー古典声楽とリズムを習得した。その後、学生時代には西洋古典ピアノの訓練を受けた。シャシュワットは2011年にハリウッド(ロサンゼルス)でキャリアをスタートさせ、数々のプロジェクトに携わった後、2016年にインドに移住した。彼は力強く映画的なスコア、美しいメロディー、そして魅力的な楽曲で知られている。彼は2019年に最も有望な新人としてフィルムフェア(RDバーマン)賞を受賞し、映画『Uri The Surgical Strike』の音楽でIIFA賞も受賞した。彼はまた、PRS財団賞の最優秀新人賞を受賞し、彼の楽曲「Dharma」は、ロンドンで開催されたプロダクション・ミュージック・アワード2021で最優秀ワールド・プロダクション・ミュージック賞を受賞した。

シャーシュワト・サチデーヴ・コレクション

■Shaukan『Ulajh』/ネーハー・カッカー(Neha Kakkar)ジュビン・ナウティヤル(Jubin Nautiyal)、シャーシュワト・サチデーヴ

■Pehli Sharam「女子高生は泣かない」/サンジート・ヘーグデー(Sanjith Hegde)

■La La La 『Attack』/ビョルン・スラーオ(Bjorn Surrao)、シャーシュワト・サチデーヴ 

■Revolver『The Ba***ds Of Bollywood』/ラジャ・クマリ(Raja Kumari)ヴィシャール・ダッドラニ(Vishal Dadlani)、ピユーシ・カプール(Piyush Kapoor)、 シャーシュワト・サチデーヴ

■Aandhi 『Article 370』/クリントン・セレーホ(Clinton Cerejo)、シャザード・アリ(Shahzad Ali)、シャーシュワト・サチデーヴ

■Dil Hai Ranjhana 『Tejas』/ ラシュミート・カウル(Rashmeet Kaur)シャーシュワト・サチデーヴ

■Jagga Jiteya 『URI/サージカル・ストライク』/ダレル・メヘンディ(Daler Mehndi)、Dee MCシャーシュワト・サチデーヴ

関連記事一覧