
7Bantai’Zデビューアルバム「SETLIST」リリース
『ザ・プール:クロコダイルパニック』(2026)のサントラでも大活躍した7Bantai’Zにとってのデビューアルバムとなる「SETLIST」がリリース!!
そのタイトルどおり、ライブで観客を熱狂させることを前提に組み立てられた作品である。イントロ「Setfree」で幕を開けると、「Win Karu Game」「PNP」と勢いよく畳み掛け、以降も休む間もなくエネルギーを放出し続ける構成は、一本のライブを追体験しているかのようだ。全9曲というコンパクトな尺ながら、彼らのストリートで培われた熱量を濃密に凝縮している。
音楽性の核にあるのは、ムンバイのヒップホップ・カルチャーで育まれた荒々しいラップと、現行のトラップ・サウンドである。しかし単なるハードなラップ作品では終わらない。「Ghetto」ではMCアルターフ(MC Altaf)を迎え、ストリートのリアリティを真正面から描きながらも、過度に悲壮感へ寄り掛からず、誇りと仲間意識を前面へ押し出す姿勢が印象的だ。一方、「Running」や「05:05」ではメロディアスなフックを取り入れ、ヒップホップに馴染みのないリスナーでも入り込みやすいポップ性を獲得している。
終盤の「Gaddar」では攻撃性をさらに高め、「Ramba」ではダンス・チューンとしての快楽性を全面に展開。そしてラストを飾る「Ziddi Ladki」は、ラジャ・クマリ(Raja Kumari)とのコラボ曲となっている。それまでの男臭い空気を少し和らげるキャッチーさを備え、アルバムを爽快な余韻とともに締めくくる。楽曲ごとの表情は異なるものの、「ライブで映える」という一本のコンセプトが全体を貫いているため、統一感は非常に高い。
近年のインド・ヒップホップは、社会派リリックや内省的な作品が高く評価される傾向にある。その流れのなかで「SETLIST」は、難解なメッセージ性よりも、現場の熱気と身体性を優先した作品だ。観客とのシンガロングやモッシュを意識したフック、シンプルで力強いビート、グループならではの掛け合いは、配信で何度も聴くためだけでなく、ライブ会場で完成することを前提に設計されている。
『SETLIST』は芸術性を追求したコンセプト・アルバムではない。しかし、その潔さこそが魅力である。ライブ・ユニットとしての7Bantai’Zの個性を明確に打ち出し、「今のインド・ストリート・ヒップホップは、これだけエネルギッシュでエンターテインメント性に富んでいる」ということを証明するデビュー作となった。今後さらに音楽的な幅を広げる余地は残しているものの、その第一歩としては十分なインパクトを放つ一枚である。


