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ランビール・カプール主演作『ANIMAL』(2023)サントラ紹介

1)Arjan Vailly

パンジャブ・シンガーのブーピンダー・バッバル(Bhupinder Babbal) がヴォーカルと作詞、『ニシャンチ:狙撃の名手』(2025)の楽曲も手掛けたマナン・バードワジ(Manan Bhardwaj)が作詞、サブヴォーカルとしてサンディープ・ブラル(Sandeep Brar)、そしてバックコーラスにはヴィッキー・ジャス(Vicky Jass)やラド・シン(Rd Singh)といったパンジャブ・シンガーが多数参加している。

ブーピンダーはパンジャブの古典音楽界では知名度が高く、アルジャン・ヴァイリーという愛称でも知られているアーティストであり、「Saint Soldier」や「Mundeyo Aagee Oye」といったヒット曲もいくつかあるが、ヒンディー語映画に参加することになったのは、今作が初めてとなる。さらに加えて、ジャクリーン・フェルナンデス(Jacqueline Fernande)のアーティストデビュー曲「Stormriderをリミックスした「Chasing Stormrider」でも話題になったことも記憶に新しい。

ヴィジャイ(ランビール・カプール)が大勢の敵に囲まれ、無双するシーンで印象的に使用されている曲であり、今作の代表的な曲ともいえることと、ディルジット・ドサンジ(Diljit Dosanjh)の影響で、パンジャブ音楽の知名度が高まっていたことも後押しし、ビルボードやSpotifyなどのグローバルチャートでも注目を浴びた。

2)Hua Main

ランジ(RANJ)サージ・バット(Saaj Bhatt)と共に参加した『War2』(2025)の「Tripping High」やトルコ文学「Madonna in a Fur Coat」をインド・ベトナム合作で映画化した『Love in Vietnam』(2025)の「Teri Pehli Nazar」などで知られるプレイバックシンガーであり、ハー・カッカー(Neha Kakkar)とセッションした「Khoobsurat」など、非映画音楽シンガーとしても活躍する、若手シンガーのラガヴ・チャイタニヤ(Raghav Chaitanya)がメインヴォーカルを務めた楽曲。

作詞は『宝石泥棒:ハイスト・ビギンズ』や『デーヴァラ』(共に2024年)などの楽曲で知られるマノージ・ムンターシル・シュクラ(Manoj Muntashir Shukla)が手掛けた。

ヴォーカルのラガヴは、AC/DCやカート・コバーン、メタリカなどの音楽に影響を受け、父親のかつての夢でもあった歌手になる道を進んだラガヴは、繊細でありながら、内面の力強さを表現することに長けているアーティスト。2019年に「Oh Teri!」で音楽活動を本格的に開始し、翌年にプレイバックシンガーとしてデビューを果たす。同年に『Thappad』(2020)の「Ek Tukda Dhoop」でフィルムフェア賞最優秀男性プレイバックシンガー賞を受賞した。

今曲の作曲とバックコーラスを務めたプリータム(Pritam)は、ラガヴの才能をすぐに見ぬき『83』(2020)の「Uth Ja Ziddi」に起用したことから、ラガヴのプレイバックシンガーとしての道は本格的に開拓れた。そして同じくプリータムが音楽監督を務めた『Metro… In Dino』(2025)では、メインアーティストとしてほとんどの楽曲に参加し、ソロを務めた「Dil Ka Kya」と「Mann Ye Mera (Rewind)」は高い評価を受けた。

『ANIMAL』としては、ファースト・シングルカットとなった曲でもある。テルグ、タミル、マラヤーラム、カンナダ語バージョンも全てラガヴが歌っており、南インドにおいても知名度を増すことになった。

3)Satranga

ヴィジャイとギータンジャリ(ラシュミカー・マンダンナ)の結婚後の状況を表したラブソングであるのと同時に、父・バルビール(アニル・カプール)に認められない悲しみ、そしてヴィジャイの心の空洞を埋める相手でしかないのかというギータンジャリの不安なども反映させた複雑な楽曲であり、2番目にシングルカットされた。

『パドマーワト』(2018)や『バジラーオとマスターニー』(2015)、『カルキ 2898-AD』(2024)など、日本公開された作品の楽曲も多く手掛けてきた、シッダールド・シン(Siddharth Singh)ガリマ・ワハール(Garima Wahal)による音楽ユニット“シッダールト=ガルマ(Siddharth-Garima)”が作詞、シュレーヤス・プラーニク(Shreyas Puranik)が作曲、そしてエド・シーランとのセッション「Sapphire」が注目されたことも記憶に新しい、ラブソングの帝王アリジット・シン(Arjit Singh)がヴォーカルを務めた。

シッダールト=ガリマ、シュレーヤス、アリジットのコラボは『Dhadak 2』(2025)の「Duniya Alag」や『Dukaan』(2024)の「Moh Na Laage」など何度か実現しており、相性の良さは言うまでもない。

4)Papa Meri Jaan

ヴィジャイの報われない、哀しき父親愛を描いており、その想いは子どもの頃から変わっていないことが強く反映されたような楽曲で、3曲目のシングルカットとなっている。

ヒンディーはもちろん、インドの各地域パンジャブやグジャラート語だけではなく、ネパールなど映画曲や非映画曲、宗教歌など、幅広く活躍し、7月にリリースされたシッダールト・マルホートラ、ジャーンヴィー・カプール主演作『Param Sundari』の「Pardesiya」にも参加していたソヌー・ニガム(Sonu Nigam)がヴォーカル、『バクシャク -犯罪の告発-』や『美に魅せられて2』(共に2024)やドラマ「ミスマッチな関係!?」といった、Netflix作品でもお馴染みのラージ・シェーカル(Raj Shekhar)が作詞、テルグ語映画曲をメインとしてきたハーシャヴァーダン・ラメシワール(Harshavardhan Rameshwar)が作曲を務めた。ちなみにハーシャヴァーダンがヒンディー語映画の楽曲を手掛けたのは、『Kabir Singh』(2019)以来の4年ぶりとなっている。

さらにバックコーラスとして、アパルナ・ハリクマール(Aparna Harikumar)やアイシュワリヤ・クマール(Aishwarya Kumar)といったアーティストが多数参加している。

サウンドトラックのデラックス・エディションでは、子ども視点に特化したバージョンも収録されている。

5)Pehle Bhi Main

主治医のふりをしたスパイとして送り込まれたゾーヤ(トリプティ・ディムリ)だが、ヴィジャイに惹かれている自分に戸惑いながら、その気持ちが本当なのかを描いた繊細な楽曲。不倫愛を描いているものの、美しい記憶のように演出されているのも印象的だ。

先日、ノラ・ファテヒ(Nora Fatehi)とタンザニアのレイヴァニー(Rayvanny)とのコラボ曲「Oh Mama! TETEMA」にも参加しており、映画音楽界では知らない人がいないほどのベテラン、ヴィシャール・ミシュラ(Vishal Mishra)がメインヴォーカルと作曲、「Papa Meri Jaan」同様にラージ・シェーカルが作詞を務めた。

6)Kashmir

ゾーヤとの出会いによって、ヴィジャイの心が、より離れていることに気づきながらも、かつての愛の記憶を手探りで探し求めるギータンジャリの繊細な心情を描いた楽曲。

ボリウッド音楽クィーンことシュレヤ・ゴシャル(Shreya Ghoshal)マナン・バルドワージ(Manan Bhardwaj)によるセッションで、その心の揺らぎを演出している。そしてマナンは、作詞・作曲も務めている。

7)Saari Duniya Jalaa Denge

パンジャブとヒンディー語シンガー兼音楽プロデューサーであり、Netflixドラマ「ボリウッドをかき乱せ!」の「Sajna Tu Baimaan」にも参加し、アクセントとして大きく機能していたB・プラーク(B Praak)がヴォーカルを務めた。

作詞はジャスミン・サンドラス(Jasmine Sandlas)が参加した『Raid2』(2025)の「Nasha」や『Liger』(2022)の「Coka 2.0」などを手掛けたジャーニ(Jaani)が作詞・作曲を手掛けた。

B・プラークの歌声は、非常に響きわたる高音ヴォイスで知られており、物語をドラマチックに演出するには、うってつけのアーティストだ。

8)Haiwaan

作詞・作曲、そしてヴォーカルを務めたのはアシーム・ケムソン(Ashim Kemson)

マラーティー語の短編小説を原作としたホラー映画Rakkhosh』(2019)の音楽監督を務め、タマンナー主演のAmazonプライムドラマ「Do You Wanna Partner」の「Jee Le Zindagi」に参加。映画やドラマの楽曲に留まらず、9月にはヌパール・パント(Nupur Pant)とマニーシュ・ミシュラ(Manish Mishra)の「One More Time」にも参加するなど、幅広い活躍が期待されるアーティストだ。

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