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『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』日本公開記念!アシーム・ケムソン(Ashim Kemson)日本メディア独占インタビューPart2

Q5)『Kabir Singh』では、実際に「Fakir Jatt Da」を歌うミュージシャンとしてスクリーンに登場されています。ミュージシャンであるアシームさんが、どのような経緯でサンディープ・レッディ・ヴァンガ監督作品に出演することになったのでしょうか? また、『カビール・シン』への参加が、後の『ANIMAL アニマル』への参加につながったのでしょうか? 監督との関係がどのように発展していったのか、ぜひ教えてください。

まず、『Kabir Singh』での僕の出演に気づいてくれてありがとうございます。

本当に小さな役でしたが、シャーヒド・カプールと同じシーンで歌う機会をいただけたことは、とても嬉しかったですね。

撮影が行われていた頃、制作側はホームレスの男性を演じられる、長髪でひげを生やした俳優を探していました。

この映画のキャスティングを担当していた会社に、僕の友人が働いていたんです。

聞いたところによると、制作側は長い間、長髪でひげがあり、なおかつ歌える人を探していたのですが、なかなか見つからなかったそうです。

そこで友人が、僕にオーディションを受けてみないかと声をかけてくれました。

最初は「僕は歌手であって、俳優じゃないよ」と言ったんです。でも友人がどうしてもと言うので、受けてみることにしました。

それが、サンディープ・レッディ・ヴァンガ監督との出会いでした。

オーディションでは、監督から著作権上の問題がない曲を歌ってほしいと言われました。

そこで僕は、その場で歌詞を作ったんです。監督はそれを気に入ってくれて、実際にシャーヒドとのシーンで歌うことになりました。

その曲が「Dil Naiyo Lagda Jatt Da」です。

『カビール・シン』の公開後、劇中で歌った2つのヴァースをもとにフルバージョンを制作しました。「Jatt Da」というタイトルを付けて、自分のYouTubeチャンネルで公開したんです。

それから3年後、監督が『ANIMAL アニマル』を制作していたとき、僕のことを覚えていてくれました。その際、監督は初めて僕のYouTubeチャンネルに公開していた「Jatt Da」のフルバージョンを知ることになったんです。

『ANIMAL アニマル』が大作になることは、僕たちもみんな分かっていました。

2022年11月、監督から、ある楽曲の歌詞を書いてほしいという連絡をいただきました。

監督からの注文は、かなり独特なものでした。「古風で、本物のパンジャブ語らしく、しかも簡単には誰にも理解できないような、独特な歌詞にしてほしい」というものだったんです。

僕は2〜3日で歌詞を書き上げました。

ところが、良いものを作ろうとすると、どうしてももう少し時間が必要になるものです。僕が歌詞を送ろうとした頃には、すでにその楽曲の歌詞は必要なくなっていました。

どれほど落胆したか、想像してみてください。

あれほど大きな映画で作詞を担当できるという素晴らしいチャンスをいただいたのに、実現しなかったんですから。

でも、僕はその歌詞を無駄にはしませんでした。

その歌詞を使って1曲まるごと制作し、2023年1月19日に自分のYouTubeチャンネルで公開したんです。

その曲が「Pambad Kare Saleda」(映画で使用される際に「Haiwaan」にタイトルを変更)でした。

そして2023年7月、再び監督の事務所から連絡がありました。今度は映画への出演オーディションを受けてほしいという話でした。

その頃にはすでに映画のプレティーザーが公開されていて、僕たちもみんな「Arjan Vailly」に夢中になっていました。

映画はとてつもないスケールの作品に見えましたし、たとえ小さな役でも、また出演できるなら僕にとっては大きな意味がありました。

翌日、オーディションを受けに行きました。

監督に再会できたことが嬉しかったですし、今回はどうしても自分の曲「Pambad Kare Saleda」を聴いてもらおうと思っていたんです。

そこで、スマートフォンで曲を再生しました。

最初、監督はスマートフォンをソファの上に置いていたんですが、音楽が流れ始めると、すぐに手に取って耳元に近づけたんです。

そして、その場で「この曲を送ってほしい」と言ってくれました。

一瞬で気に入ってくれたんです。

監督は何度も何度も曲を聴き返し、歌詞の意味についても質問してくれました。

僕の曲を聴きながら監督が体を揺らしている姿は、まるで自分の想像のなかの出来事を見ているようでした。

『Kabir Singh』以来、僕はいつかもう一度サンディープ監督と仕事をしたいと、ずっと願い続けていたんです。

そして、オーディションを受けた役にも選ばれました。

ところが、撮影開始の12時間前になって、制作側から電話がかかってきたんです。

「良い知らせと悪い知らせがあります」と言われました。

僕は恐る恐る「では、悪い知らせからお願いします」と答えました。

すると、「オーディションを受けた役には出演しないことになりました」と言われたんです。

でも、良い知らせもありました。

「サンディープ監督があなたの曲をとても気に入って、映画で使うことにしました」というものだったんです。

その電話から2か月が経ちましたが、その後は何の連絡もありませんでした。

正直なところ、出演を断るために、制作側が僕を慰めようとしてあんなことを言っただけなのではないか、とさえ思いました。

ところが、ある日の深夜0時30分、サンディープ監督本人から電話がかかってきたんです。

「明日、事務所に来てほしい」と。

翌日、監督に会いに行くと、いきなり「Pambad Kare Saleda」が映画のどのシーンで使われるのかを見せてくれました。

そこにはランビール・カプールが映っていました。

鳥肌が立ちましたよ。

自分の幸運が信じられませんでした。

これは運命だったのか、忍耐の結果だったのか、諦めずに努力し続けたからなのか……。

『Kabir Singh』では物乞いの役だった僕が、『ANIMAL アニマル』では自分の楽曲を本格的に起用してもらえることになった。

サンディープ監督は、僕のために最高の脚本を書いてくれたようなものですね。

Q6)日本では、インド映画が一般の映画館で公開される機会はまだ比較的少なく、通常の劇場公開作品は年間10本前後にとどまっています。そうしたなかで、『55』や『ANIMAL アニマル』が日本で公開され、日本の観客に届くことについて、どのように感じていますか?

インド映画が日本の皆さんに届くようになっていることを、とても嬉しく思っています。

僕たちもたくさんの日本映画を観ていますからね。

日本の観客の皆さんにも、インド映画を楽しんでいただける機会が増えていることを嬉しく思います。

Q7)アシームさんの音楽は、非常に幅広いジャンルにわたっています。『Vibe』の「Sipahi Ek」のようなキャッチーな楽曲を制作する一方で、「Public Sab Janti Hai」ではヒップホップにも挑戦しています。ジャンルに関係なく、音楽を制作するうえで最も大切にしていることは何でしょうか? また、最近、特に刺激を受けたものがあれば教えてください。

僕は、あらゆるタイプの音楽を探求することが好きな作曲家なんです。

インディペンデントで活動しているからこそ、本当にさまざまな音楽を自由に作ることができます。

ぜひ、僕がインディペンデントでリリースしてきた楽曲も聴いてみてほしいですね。

創作のアイデアというものは、その瞬間に突然湧き上がってくるものです。

それは楽しい音楽かもしれないし、悲しい音楽かもしれない。あるいは、誰かを勇気づけるような音楽かもしれません。

Q8)これは私がインタビューするすべてのアーティストに尋ねている質問なのですが、ある意味では最も難しい質問かもしれません。お気に入りのインドのアーティスト、あるいは楽曲を5つ挙げていただけますか?

子どもの頃から現在まで、本当にたくさんのアーティストに影響を受けてきました。

そのなかから5人に絞るのは難しいですが、選んでみますね。

  • A・R・ラフマーン(A. R. Rahman)
  • アミット・トリヴェディ(Amit Trivedi)――幸運にも『Vibe』では彼のために歌う機会をいただきました。
  • モハン・カンナン(Mohan Kannan)
  • グルダース・マーン(Gurdas Maan)
  • カラン・アウジラ(Karan Aujla)

Q9)最後に、いつか日本を訪れてみたいと思いますか? また、今回のインタビューを通じて、初めてアシームさんやその音楽を知る日本のリスナーに向けて、メッセージをお願いします。

日本は本当に美しい国ですよね。もちろん、いつか訪れてみたいと思っています。できれば、そう遠くないうちに実現したいですね。

実は、昔から空手を習いたいと思っていたんです。でも、結局まだ習えていないんですよ(笑)。

日本映画も昔から大好きです。

『千と千尋の神隠し』は、僕のオールタイム・フェイバリットのひとつです。

インドでもアニメは本当に人気がありますよ。

最近では、映画『怪物』もとても気に入りました。物事を捉える視点が本当に素晴らしく、映画としての作り方にも感銘を受けました。

このインタビューを読んでくださっている日本の皆さん、こんにちは!

ぜひ僕の音楽を聴いてみてください。

さまざまなタイプの楽曲がありますし、僕の音楽を通じて、ボリウッド音楽やパンジャブ音楽にも親しんでいただけると思います。

そして、近いうちに日本の伝統楽器を使った楽曲も制作するつもりです。

楽しみにしていてください!

【アシーム・ケムソン /Ashim Kemson 】

インドのシンガーソングライター、作曲家、音楽プロデューサーとして活動するアシーム・ケムソン(Ashim Kemson)。パンジャブ音楽やボリウッド音楽を基盤に、ロック、ヒップホップ、ポップス、ゴスペルなど、多彩なジャンルを横断する音楽性を持ち味としている。力強く野性味あふれる歌声から、哀愁を帯びた繊細な表現までを自在に使い分け、歌唱のみならず、作詞、作曲、編曲、音楽制作まで幅広く手掛けるマルチアーティストだ。映画音楽の分野でも着実に実績を重ね、短編映画『Good Night Sleep Tight』ではベンガルール国際短編映画祭の音楽賞を受賞。さらに、サンディープ・レッディ・ヴァンガ監督の大ヒット作『ANIMAL アニマル』(2023)では、劇中歌「Haiwaan」の歌唱、作詞、作曲、プログラミングを担当。同作の音楽制作陣の一員として、2024年の第69回フィルムフェア賞で最優秀音楽アルバム賞、第24回IIFA賞で最優秀音楽監督賞を共同受賞するなど、高い評価を獲得した。また、『Rakkhosh』では劇伴音楽や複数の劇中歌を手掛け、『カビール・シン』(2019)には俳優としても出演。映画『55』では劇中歌「Sharminda Hoon」の歌唱と作詞を担当するなど、その活動は多岐にわたる。一方で、自身のレーベル「Dungi Entertainment」を通じた楽曲制作にも力を注ぎ、商業映画とインディペンデント・ミュージックの双方で独自のキャリアを築いている。伝統的なパンジャブ音楽の土着的な力強さと、現代的な音楽制作の感覚を併せ持ち、映画音楽と独立音楽の境界を越えて活動を続けるアーティストである。

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