
『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』日本公開記念!アシーム・ケムソン(Ashim Kemson)日本メディア独占インタビューPart1
『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』日本公開を記念した、独占インタビューが実現!!
実は本作、完成バージョンが一般劇場公開されるのは、ほとんど日本が初めてという、特殊なインド映画?というより、インドが舞台のアメリカ映画と言った方が適切かもしれない。
そんな『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』で、クライマックスに印象的な楽曲「Sharminda Hoon」を歌った、アシーム・ケムソン(Ashim Kemson)に日本メディア独占インタビューを行うことができた。
アシームは、本作だけではなく、今年日本公開された『ANIMAL』の楽曲にも参加しており、楽曲を担当した2作が日本公開されるという特別な年にインタビューできたことは、かなり貴重といえるだろう。
さらに、本作の監督を務めたシャーム・P・マディラージューにも先日、インタビューを行った。こちらは配給のインターフィルムさんを通して実現したインタビューであるため、日本メディア独占ではないが「映画秘宝」1月号に掲載される。またラジャ・クマリやアシームとの関係などの音楽関連の質問に関して、「映画秘宝」に載りきらないものに関しては、こちらに掲載予定。

Q1)映画『55』では、歌手および作詞家としてクレジットされています。このプロジェクトには、どのような経緯で参加することになったのでしょうか? また、レコーディングが行われた時期についても教えてください。
以前から、シャーム・マディラージュ監督とは数多くの広告の仕事でご一緒していました。(これに関してはシャーム監督にも聞いている)
その頃から監督は「いつか一緒に映画を作ろう」と言ってくれていたんです。僕の歌声や歌詞、音楽をずっと気に入ってくれていました。
2020年、ちょうど新型コロナウイルスのパンデミックの最中でしたが、監督から『Harami』(のちに『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』)という映画に必要な楽曲について相談を受けました。
そこで僕は「Sharminda Hoon」の歌詞を書き、歌唱も担当しました。ムンバイにある自宅のスタジオでレコーディングし、その音源を監督に送りました。
当時、監督はアメリカにいたので、時差を考慮しながら連絡を取り合っていました。Skypeを使って歌詞やメロディーについて話し合い、制作を進めていったんです。
監督は本当に情熱的な方です。僕も彼と一緒に仕事をするのがいつも楽しみなんですよ。
Q2)「Sharminda Hoon」は、具体的にどのように制作されたのでしょうか? プラティーク・ラージャゴーパールとの共同作業や、作詞にあたって特に意識したことについて教えてください。
この曲は、シャーム監督の構想から生まれたものです。
僕は監督と一緒に、映画の特定の場面に合う歌詞を考えました。そのシーンにふさわしい感情を、歌詞を通して伝えられるように意識したんです。
僕はこの曲の歌詞を書き、歌唱を担当しました。音楽を作曲し、ギターを演奏したのはプラティーク・ラージャゴーパール(Prateek Rajagopal)です。
実は、プラティークとは直接やり取りをしたことがほとんどありません。
ただ、彼は素晴らしいアーティストだと思っています。
Q3)現在は歌手、ソングライター、作曲家、プロデューサーと、さまざまな立場で活動されています。最初から「自分ですべてを作る」というスタイルを目指していたのでしょうか?
学生時代には、すでに自分でゴスペルの曲を作り、歌詞も書いていました。ただ、その頃は自分がシンガーソングライターや作曲家になりつつあるなんて、まったく意識していなかったんです。知らず知らずのうちに、そういう道を歩んでいたんですね。
2012年にムンバイへやって来ました。最初の数年間は、ボリウッドや音楽業界の仕組みを理解することに時間を費やしました。
その間、広告音楽やウェブシリーズ、ドキュメンタリー、短編映画など、さまざまな仕事を引き受けました。映画向けに楽曲を売り込んだり、ライブ活動を行ったりもしていました。
そんななかで参加したのが、映画『Rakkhosh』です。この作品では劇伴音楽と5曲の楽曲を担当しました。すべての曲で歌唱、作曲、作詞を手掛け、俳優としても出演しています。
そして2019年からは、自分の音楽レーベル「Dungi Entertainment」を通じて楽曲をリリースするようになりました。
インディペンデント・アーティストとして活動するということは、すべての責任を自分で負うということでもあります。その過程でミキシングやマスタリングも学びました。
今では、誰かに頼らなくても、最初から最後まで自分ひとりで楽曲を完成させることができます。
Q4)キャリアの初期から現在までを振り返って、インドのインディペンデント・ミュージック・シーンはどのように変化したと感じていますか? また、その変化によってご自身の音楽活動にも影響はありましたか?
僕は今もインディペンデント・アーティストとして活動していますが、個別のプロジェクトでは音楽レーベルと仕事をすることもあります。
もちろん、独立して活動することには、それなりの難しさがあります。
ただ、現在はデジタル音楽の配信サービスや、楽曲の権利管理・出版管理を支援するサービスが数多く登場したことで、アーティスト自身が音楽を配信することが、以前よりもずっと簡単で身近なものになりました。
YouTubeやInstagramをはじめとするソーシャルメディアも、楽曲を多くの人に届けるための大きな助けになっています。
しかも、そうした活動を仲介者なしで行うことができるんです。
以前は、楽曲の流通やマーケティングを音楽レーベルやレコード会社に頼るしかありませんでしたからね。
★Part2では、『カビール・シン』や『ANIMAL』についても詳しく言及!!

【アシーム・ケムソン /Ashim Kemson 】
インドのシンガーソングライター、作曲家、音楽プロデューサーとして活動するアシーム・ケムソン(Ashim Kemson)。パンジャブ音楽やボリウッド音楽を基盤に、ロック、ヒップホップ、ポップス、ゴスペルなど、多彩なジャンルを横断する音楽性を持ち味としている。力強く野性味あふれる歌声から、哀愁を帯びた繊細な表現までを自在に使い分け、歌唱のみならず、作詞、作曲、編曲、音楽制作まで幅広く手掛けるマルチアーティストだ。映画音楽の分野でも着実に実績を重ね、短編映画『Good Night Sleep Tight』ではベンガルール国際短編映画祭の音楽賞を受賞。さらに、サンディープ・レッディ・ヴァンガ監督の大ヒット作『ANIMAL アニマル』(2023)では、劇中歌「Haiwaan」の歌唱、作詞、作曲、プログラミングを担当。同作の音楽制作陣の一員として、2024年の第69回フィルムフェア賞で最優秀音楽アルバム賞、第24回IIFA賞で最優秀音楽監督賞を共同受賞するなど、高い評価を獲得した。また、『Rakkhosh』では劇伴音楽や複数の劇中歌を手掛け、『カビール・シン』(2019)には俳優としても出演。映画『55』では劇中歌「Sharminda Hoon」の歌唱と作詞を担当するなど、その活動は多岐にわたる。一方で、自身のレーベル「Dungi Entertainment」を通じた楽曲制作にも力を注ぎ、商業映画とインディペンデント・ミュージックの双方で独自のキャリアを築いている。伝統的なパンジャブ音楽の土着的な力強さと、現代的な音楽制作の感覚を併せ持ち、映画音楽と独立音楽の境界を越えて活動を続けるアーティストである。


