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ラジャ・クマリの新曲「GYAARA」はシドゥ・ムーセ・ワーラーへの追悼曲

ラジャ・クマリ(Raja Kumari)の「GYAARA」は、彼女がパンジャブ・ヒップホップへ本格的に踏み込んだ楽曲であり、故シドゥ・ムーセ・ワーラー(Sidhu Moose Wala)への想いが色濃く刻まれた一曲だ。

二人はシドゥのアルバム『Moosetape』(2021)に収録された「US」で共演しており、「GYAARA」はその関係性を数年越しにもう一度つなぎ直す作品として位置づけられる。

とりわけ重要なのが、楽曲にシドゥが生前ラジャへ送ったボイスノートが使用されていることだ。そこには彼女の音楽を評価し、今後一緒に何かを作ろうとするシドゥの言葉が残されている。しかし、その約束が十分に実現される前に彼は亡くなった。「GYAARA」は残された声を楽曲の一部にすることで、実現しなかった二人の対話を音楽の中で完成させようとしている。

タイトルの「GYAARA」は「11」を意味する。楽曲では「1と1が一緒になれば11になる」という発想が使われており、二つの「1」が横に並ぶことで、単純な足し算以上の力を持つという比喩になっている。そこにはラジャとシドゥという二人のアーティストの結びつきも重ねられているのだろう。

サウンド面では、ラジャがこれまで築いてきたインドとアメリカを横断するヒップホップを土台としながら、パンジャブ・ヒップホップの重量感を前面に押し出している。英語とパンジャブ語を行き来するラップも印象的で、成功や敵対者、自らの地位、そして誰にも屈しない姿勢を力強く宣言する。彼女特有の堂々としたフロウとパンジャブ・ヒップホップの攻撃性は相性がよく、単なる追悼曲とは異なる緊張感を生み出している。

だからこそ「GYAARA」で描かれるのは、悲しみに沈むラジャではない。シドゥから受け取った言葉や精神を自らの力へと変え、さらに前へ進もうとする姿だ。「US」が二人の生前の共演だったとすれば、「GYAARA」は残された声を介して実現した、もうひとつの共演ともいえる。シドゥへの追悼であると同時に、ラジャ自身の新たなフェーズを告げる力強い一曲となっている。

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