
グル・ランダワ(Guru Randhawa)の「FOSHO」でスカーレット・ヨハンソンに言及?!
インドを代表するパンジャブ・ポップスターのひとり、グル・ランダワ(Guru Randhawa)による新曲「FOSHO」がリリース。
タイトルは「For Sure」を崩したスラングで、「間違いなく」「もちろん」といった意味を持つ。その言葉が象徴するように、楽曲全体を貫いているのは、自信たっぷりの“swagger”だ。
ランダワといえば、「Lahore」や「High Rated Gabru」「Suit Suit」などを通じて、パンジャブ・ポップをインドのメインストリームへ押し広げてきた存在だ。パンジャブ語を軸にしながら、ヒップホップやEDM、ダンス・ポップなどを積極的に取り込み、誰でも口ずさめるシンプルなメロディと強烈なフックへ落とし込む。その持ち味は「FOSHO」でも変わっていない。
楽曲は低音を強調したミニマルなビートを軸に構成されている。近年のパンジャブ・ヒップホップにも通じる重量感を持ちながら、ダークで攻撃的な方向へ振り切るのではなく、グル・ランダワらしい軽快なダンス・ポップとしてまとめているのが特徴だ。複雑なメロディ展開で聴かせるというより、短いヴォーカルフレーズを反復し、言葉の響きとリズムそのものをフックへ変えていく。「pakki pakki gal aae」という印象的なフレーズも含め、一度聴いただけでも耳に残ることを最優先したような作りになっている。
歌詞では、魅力的な女性へのアプローチを軸に、ファッションやラグジュアリー、セレブリティといったイメージが次々と登場する。恋愛感情を繊細に描くというより、女性の魅力と自身のスター性を同じ華やかな世界観のなかに置いていくタイプのラブソングだ。ハリウッド・スターのスカーレット・ヨハンソンへの言及まで飛び出し、パンジャブ語圏の感覚とグローバルなポップカルチャーを自然に混在させている。
一方、MVはそんな楽曲の“swagger”を視覚的に拡張したものとなっている。大きな特徴は、飛行機の機内を主要な舞台としていること。本来なら座席が並ぶ閉鎖的な空間をパーティー会場のように変貌させ、ランダワを中心に華やかなパフォーマンスが繰り広げられる。飛行機というモチーフも、単なる豪華なセットではなく、世界を飛び回るポップスターとしてのランダワのイメージと重なって見える。
つまり「FOSHO」では、楽曲とMVが同じ方向を向いている。サウンドでは低音の効いたビートと反復するフックによって余裕のある格好良さを作り、歌詞では自信に満ちた恋愛観を打ち出し、MVではそれを飛行機という非日常的かつラグジュアリーな空間へ置き換えている。
近年のパンジャブ音楽では、ヒップホップやR&B、トラップとの融合が進み、そのサウンド自体が世界市場へ浸透するようになった。「FOSHO」もそうした現在の感覚を取り入れているが、ランダワはそこへ全面的に迎合するのではなく、あくまで自身が得意としてきたキャッチーなダンス・ポップへ落とし込んでいる。
「FOSHO」はパンジャブ・ポップの新しい方向性を提示する実験作というより、一度聴けば覚えられるフック、踊れるビート、華やかな映像、そしてスターとしての強烈な自己演出という、ランダワの武器を現在のサウンドで再提示した一曲だ。タイトル通り、「間違いない」と言い切るような自信そのものが、この曲最大の魅力となっている。


