ディスクコレクション : LP『Dance Dance』(1987)

1980年代のインド・ディスコを語るうえで、バッピ・ラヒリ(Bappi Lahiri)の名は欠かせない。そして『Dance Dance』(1987)のサウンドトラックは、『Disco Dancer』(1982)の成功を受け継ぎながら、よりエレクトロニックで国際的なダンス・ミュージックへ踏み込んだ代表作である。イタロ・ディスコやユーロ・ポップを大胆に吸収し、シンセサイザー、ドラムマシン、煌びやかなベースラインを前面に押し出したサウンドは、1980年代後半のボリウッド・ポップの到達点と言っても過言ではない。

それと同時に、アリーシャ・チナーイ(Alisha Chinai)を中心に構成されたディスコ盤としての価値を持っている。

最大の名曲は、アリーシャが歌う「Zooby Zooby(Zubi Zubi)」。軽快なビートと耳に残るフック、そして艶やかな歌唱が見事に融合し、インド映画史に残るディスコ・ナンバーとなった。西洋ポップスの影響は濃厚ながら、それを単なる模倣ではなく、ボリウッド流の華やかさへ昇華している点がバッピ・ラヒリの真骨頂である。『シャバーナーと呼ばれる女』(2017)や『Dhokha』(2022)などでもリメイクされている。

タイトルトラック「Dance Dance」や「Super Dancer」は、主人公の情熱とステージでの躍動感をそのまま音楽へ落とし込んだようなエネルギッシュな仕上がり。シンセブラスやリズムマシンを大胆に用いながらも、メロディはどこまでも親しみやすく、映画音楽としてのドラマ性を失わない。「Zindagi Meri Dance Dance」は当時映画では十分に活用されなかったものの、後年に再評価され、2017年公開の映画『Daddy』でリメイクされたことで、新たな世代にも知られるようになった。

一方で、本作には当時流行していた欧米ディスコやポップスからの影響が色濃く現れており、一部楽曲は海外ヒット曲との類似性も指摘されている。しかし、それも1980年代インド映画音楽の時代性を象徴する要素であり、海外サウンドを積極的に取り込みながら独自の娯楽作品へ作り替えていくボリウッドの柔軟性を物語っている。

『Dance Dance』のサウンドトラックは、ディスコ黄金期を締めくくる作品であると同時に、インド映画音楽が世界のダンス・ミュージックと本格的に接続した歴史的アルバムでもある。現在聴いても色褪せないキャッチーさと高揚感を備え、バッピが「インドのディスコ・キング」と呼ばれる理由を存分に味わえる一枚だ。

Dance Dance – Vijay Benedict, Alisha Chinai

Zooby Zooby – Alisha Chinai

Aap Ke Saamne Pehli Baar – Alisha Chinai

Halwa Wala Aa Gaya – Vijay Benedict, Uttara Kelkar, Sarika Kapoor

Dance With Pa Pa – Vijay Benedict

Yaar Mera Kho Gaya – Alisha Chinai

Super Dancer – Bappi Lahiri

Dil Mera Todo Na – Bappi Lahiri

Zindagi Meri Dance Dance – Alisha Chinai, Vijay Benedict

Dance Dance (Instrumental Theme)(インストゥルメンタル)

■『Dance Dance』楽曲カヴァー&リミックスの一例

Mere Dil Gaaye Ja (Zooby Zooby)/ザーラ・S・カーン(Zahrah S. Khan)、ヤシュ・ナルヴェカール(Yash Narvekar)

Zubi Zubi/スークリティ・カッカー(Sukriti Kakar)

Zindagi Meri Dance Dance/アリーシャ・チナーイー

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