
『Prem Keetanu』からB・プラーク x スークリティ・カッカーによる「Ishq Ka Ghulaam」
ヒンディー語映画『Prem Keetanu』から発表された「Ishq Ka Ghulaam」は、B・プラーク(B Praak)とスークリティ・カッカー(Sukriti Kakar)による失恋ソング。タイトルは直訳すれば「愛の奴隷」を意味し、恋によって何度傷ついても、結局そこから逃れることのできない男の感情を歌った一曲だ。
サウンドを手掛けたのはザ・リシ(The Rish)。近年のヒンディー映画音楽らしい洗練されたポップ・プロダクションをベースにしながら、ドーラクやタブラを含む生のパーカッションを取り入れ、そこへギターやシンセを重ねている。特にリズムは、単純な打ち込みだけで押していくのではなく、生楽器による細かなアクセントを加えることで、現代的なポップスとインド映画音楽らしい情緒を両立させている。
その中心に立つのがB・プラークのヴォーカルだ。「Mann Bharrya」や「Filhall」などでも発揮してきた、声を張り上げながら感情を爆発させる歌唱は今回も健在。静かに悲しみを噛み締めるというより、失恋の痛みを真正面からぶつけるような歌声で、楽曲そのものを大きくドラマティックにしている。そこへスークリティのヴォーカルが加わることで、B・プラーク一人の重厚なバラードとは異なる広がりも生まれている。
歌詞では、涙を流し、何度も傷つき、「もう恋なんてしない」とまで思いながら、それでも自分は「Ishq Ka Ghulaam=愛の奴隷」であるという矛盾した感情が描かれる。恋に敗れたことを認識しているにもかかわらず、愛すること自体を捨てきれない。失恋から抜け出そうとする理性と、それでも相手を求めてしまう感情の衝突こそが、この曲の核になっている。
MVでは『Prem Keetanu』の主演ヴィール・パハリヤと、本作で映画デビューを果たすアーフィヤ・サイードを中心に、恋愛関係が崩れていく過程を楽曲と重ねている。単独のラブソングというより、若者たちの恋愛や友情、片思い、そして失恋を描く映画の物語を補強するナンバーとして機能している。
特に面白いのは、タイトルが示すように、失恋を「愛の終わり」として描いていないことだ。「もう恋はしない」と宣言しながら、サビに戻れば再び「それでも自分は愛の奴隷だ」と歌ってしまう。その堂々巡りを繰り返す構成によって、頭では終わったと理解していても感情だけが取り残されてしまう失恋の状態を表現している。
B・プラークの圧倒的な歌唱力を中心に、生のパーカッションと現代的なポップ・サウンドを組み合わせながら、失恋の痛みを徹底的にドラマティックに膨らませた「Ishq Ka Ghulaam」。
『Prem Keetanu』における恋愛の甘さではなく、その先に待っている苦さを担った一曲となっている。


