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『スパイダーマン:BND』インド・オフィシャルソング「Brand New Day」「Barsaat」がリリース!!

マーベル映画のプロモーションソングは数多く存在するが、「Brand New Day – Spider-Man Anthem」は、そのなかでも珍しく「インド市場のために制作された」ことを前面に打ち出した楽曲である。

音楽を手掛けたのはG.V.プラカーシュ・クマール(G.V.Prakash Kumar)、ヴォーカルはラッパーのヴェンガーヨ(Vengayo)。タミル語によるリリックと、サンディ・マスター(Sandy Master)によるキレのあるダンスを組み合わせ、スパイダーマンという世界的ヒーローを南インドのストリートカルチャーへと大胆に落とし込んでいる。

サウンドは、プラカーシュらしい重低音のビートを軸に、エレクトロニックなシンセ、ブラス、ヒップホップを融合した現代的なタミル・ダンスミュージック。映画本編のテーマを壮大に表現するというよりは、SNSやショート動画で拡散されることを意識した約数分間のエネルギッシュなアンセムに仕上がっている。フックの強いリズムと掛け声は、一度聴けば耳に残る中毒性を持ち、映画公開前の期待感を高める役割を十分に果たしている。

一方で、映画音楽としてのドラマ性やスパイダーマンらしい繊細さを期待すると肩透かしを受けるかもしれない。本作はあくまで劇伴ではなく、プロモーションのためのダンスナンバーであり、キャラクターの内面を描くというよりも、「みんなで踊って盛り上がろう」という祝祭性を重視している。その潔さこそが本作の魅力でもある。

近年、ハリウッド作品がインド向けに独自の楽曲やイベントを展開する例は増えているが、本作はその流れを象徴する一本だ。世界共通のヒーローをローカルな音楽文化へ自然に溶け込ませた好例であり、グローバル作品とインド・ポップカルチャーの距離がますます縮まっていることを実感させる一曲となっている。

さらに、インドのインディーポップデュオ、バンジャーレ(Banjaare)による「Barsaat x Spider-Man (Brand New Day Edition)」は、ピーター・パーカーとMJのすれ違い、そして『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』から続く“忘れられた恋”という切ないテーマに寄り添った、エモーショナルなバラードである。ソニー・ピクチャーズ・インドとソニー・ミュージック・インディアによる公式コラボレーションとして制作され、映画公開直前にリリースされた。

雨を意味するタイトル「Barsaat」が象徴するように、楽曲全体はモンスーンの情景を思わせる繊細なギターと穏やかなリズムで構成され、バンジャーレならではの温かみのあるボーカルが、喪失感と希望を丁寧に描き出していく。劇中のヒーローとしての葛藤ではなく、一人の青年として愛する人を失ったピーター・パーカーの心情を映し出すアプローチは、従来のスーパーヒーロー映画のプロモーションソングとは一線を画している。

また、ダンサブルな「Brand New Day – Spider-Man Anthem」と対照的な存在でもある。前者がインドらしい高揚感で映画を盛り上げる“祝祭”なら、「Barsaat」はキャラクターの感情へと深く入り込む“余韻”を担う一曲だ。この対照的な2曲を展開したことで、ソニーはインド市場において作品のアクション性だけでなく、ラブストーリーとしての魅力まで訴求することに成功している。

ハリウッド作品のローカルプロモーションは数多いが、本作は単なる宣伝用の替え歌ではない。バンジャーレ自身の音楽性を生かしながら、スパイダーマンの物語を一編のインディーポップとして成立させた完成度の高さが光る。インド独自の感性で世界的ヒーローの孤独を歌い上げた、近年の映画タイアップの中でも印象的なコラボレーションと言えるだろう。

ちなみに音楽ではないが、『カーンターラ 神の降臨』(2022)で監督・脚本・主演を務めたリシャブ・シェッティ(Rishab Shetty)も、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の公開に合わせたソニー・ピクチャーズ・インドのプロモーション映像に出演し、スパイダーマンへの思いを語っている。これは、インド人俳優として初めてスパイダーマン映画の公式キャンペーンに起用された事例でもある。

インドにおいてアメコミヒーローは幅広い人気を誇るが、その中でもスパイダーマンは別格の存在だ。子どもから大人まで圧倒的な知名度を持ち、まさに“国民的ヒーロー”と呼べるキャラクターとなっている。

実際、ムンバイのコミックショップを取材した際、店主のハムザ氏も「インドで最も人気のあるスーパーヒーローはスパイダーマンだ」と語っていた。その人気の高さは、映画だけでなくコミックやグッズ市場にも色濃く表れている。

さらに、インドでは映画公開に合わせたプロモーションソングだけでなく、インド独自に制作されたスパイダーマン作品やアメコミヒーロー関連のPRソングも数多く存在する。ここからは、そんなインドならではのコンテンツをいくつか紹介していこう。

■Main Hoon/サナム(Sanam)『アメイジング・スパイダーマン2』より

■Marvel Anthem / A.R.ラフマーン(A.R. Rahman) 『アベンジャーズ/エンドゲーム』より 

■Superman Theme / Recreation with Indian Classical Instruments『スーパーマン』(2025)より

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