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6月28日より公開!カンナダ語映画『チャーリー』音楽特集

6月28日から日本でも劇場公開されるカンナダ語映画『チャーリー

2018年から撮影が開始されていたのが、新型コロナの影響で2022年公開、日本ではさらに遅れて2024年の公開となったわけだが、インドでは珍しい”犬映画”ということもあって、当時から話題になっていた作品だ。

今作の監督・脚本を務めるキランラージ・Kは、まだ30代でありながら、デビュー作は『Kaavala』(2011)と、若い頃から映画業界に飛び込んでいたわけだが、キランラージにとって今作は、一番のヒット作と言っても過言ではないだろう。

ヒロイン的立ち位置のサンギータ・シュリンゲーリは、もともと「Hara Hara Mahadeva」に出演していたテレビ俳優であったが、約2700人のオーディションから選ばれ、今作で映画デビューを果たした。今では『Lucky Man』(2022)や『Shivaji Surathkal 2』(2023)といった話題作にも出演しており、すっかり映画俳優となっている。

インドでは”犬映画”が珍しいと言ったが、動物の映画が無いわけではない。

キッズムービーの『Chillar Party』(2011)のように犬が活躍する作品もあれば、アクシャイ・クマール主演の『It’s Entertainment』(2014)、タミル語映画『Naal Sekar』(2022)のような犬主体の作品もあったりするし、近年でいうと、おしゃべりする犬たちが主人公のマラヤーラム語映画『Valatty』(2023)も公開されている。

実はカンナダでも2020年に、こちらもラブラドールと飼い主の絆を描いた「Naanu Matthu Gunda」が公開されている。

しかし近年の動物映画の在り方の変化には、ディズニーやピクサー、イルミーネーション製アニメと配信サービスの普及によってハリウッドやヨーロッパの作品が多く観られる環境になったことの影響が大きいといえるし、子どもたちの間では世界共通というべきた「パウ・パトロール」も流行っていて、劇場版が小規模ながらインド国内でも上映されている。

世界的にヒットした『僕のワンダフル・ライフ』のような作品の影響も強いだろう。

つまりハリウッドの動物映画の影響を真っ向から受けているし、実際に制作者たちがそう言っている。劣悪な環境から逃げてきた動物と主人公が出会うというプロット自体がアメリカ映画的だ。

例えばボリウッドの場合は、わかりやすく欧米化しているが、カンナダ語映画も割と欧米化に向かっていて、日本でも公開された「KGF」もザック・スナイダーによるグラフィックノベル映画の影響を受けているはずだし、カンナダ語のバイオレンス映画を観ていると、どうしてもタランティーノ感が漂っている。

それは全体的な流れの話であって、物語自体は非常に素晴らしい作品だ。

人間と犬の絆、そして旅を通じて出会った人々の優しさなどに触れていくロードムービーであり、ふたりの先に待つ悲しい結末とという感動しないではいられない作品であり、前半でしっかり人物描写がされていることで後半はダルマとチャーリーの絆に入り込みやすい絶妙なバランスで構成されているのは見事。

そして、そんなふたりの絆を演出するうえで機能している音楽センスの良さにも注目してもらいたい。

音楽監督はノビン・ポール第96回アカデミー賞外国語映画部門のインド代表に選出された『2018』の音楽も手掛けていた映画音楽アーティストだ。

今作のサウンドトラックを制作するうえで、とくにコミカルなシーンの楽曲は、ハンナ・バーベラの名作アニメ「トムとジェリー」をイメージしたとか。

オープニングテーマ的に使用されている「Escape Song」には、グラミー賞アーティストのカントリーロックシンガー、プロデューサーとしても知られるアメリカのアーティスト、ロニー・パークを起用しているのも面白い試みであるし、さらにダルマとチャーリーがパラグライダーに乗るシーンに使用されてる「Welocom To The Fire」も2017年にリリースされた、同じくアメリカのアーティストWillyechoの楽曲を使用しているなど、英語の楽曲も普通に取り入れている。

今作に限らず、近年の作品では多くなってきたが、今作もダンスシーンとして分離させるのではなく、曲数は割と多いながらもサウンドトラック的に使用されていることもあって、多言語や多ジャンルの曲を効果的に使用しているのだ。

パンチャム・ジェーヴァやヴィジャイ・プラカーシュ、マドゥリ・セシャドリといった、カンナダ語映画や南インド映画ではお馴染みのシンガーたちも多く参加しているが、積極的に若手アーティストも起用しており、コンカニ語ソング「O’Ga」は新人のディティ・ロトリカルが歌っている。

ちなみにゴア人であるディティは、当時は赤い鳥居の大学としても知られているパルバティバイ・チョウグル芸術科学大学の学生であった。

バトミントンでも全国的に有名な選手だが、本格的な歌手としての仕事は初めてということもあり、この曲の作詞家サイエシュ・ポイ・パナンディカがディティのトレーニングも務めている。

Sahapaati」には、シェッティ姉妹としてYouTubeなどに動画をあげているチャイルドシンガーのアーラナ・シェッティを起用しており、作中でダルマの近所に住む少女でチャーリーと心を通わせていく少女のイメージソングとなっていこともあり、あえて子役っぽく歌っているのだろう。

【作品情報】

監督・脚本:キランラージ・K 出演:チャーリー、ラクシット・シェッティ、サンギータ・シュリンゲーリ、ラージ・B・シェッティ、ダニシュ・サイト、ボビー・シンハー 原題:777 Charlie 2022年/インド/カンナダ語/カラー/シネスコ/164分/5.1ch 配給:インターフィルム

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