
メディア寄稿:『マーク・アントニー』評(映画チャンネル)
『マーク・アントニー』評
「インディアンムービーウィーク」などの期間限定上映で人気を博した『マーク・アントニー』がいよいよ一般劇場公開に!!アーディク・ラヴィチャンドラン監督作が日本で一般劇場公開になるのは、今回が初となるのも嬉しい限りだ。
アーディクは俳優やシンガーとしての顔もあるが、主にタミル語映画のコメディ監督として知られている。同時に人生の節目をユニークな視点で捉えており、とくに恋愛や出会い、親子の絆においては重要視する傾向が強く、その点は長編初監督作品『Trisha Illana Nayanthara』(2015)から貫いている作家性といえるだろう。長編2作目となる『Anbanavan Asaradhavan Adangadhavan』(2017)のように興行的に上手くいってないこともあったし、実際に酷評が多かったものの、やはり最新作の『Good Bad Ugly』(2025)も健在だった。過去作のオマージュに頼っているという意見もあるが、同じテーマを盛り込み続けているのは作家性に他ならない。
今作においてもその側面は残しつつ、SFアクションコメディとして味付けされており、さらにタミル語映画の十八番ともいえるギャング抗争ときている。アーディク作品のなかで、ずっと足らなかった”何か”を、長い映画旅のなかでようやく見つけ出してくれたような驚きと感動に満ち溢れていた。チープというか、”レトロ感”とあえて言っておくが、独特な演出と美術も良い味を出していた。
インドでは全体的にミュージカルシーンを削ぎ落して、2時間程度にする作品が年々増え続けているものの、アーディクの場合は、吉本新喜劇のようなコテコテのコメディや物理的に不可能なアクション、そしてミュージカルシーンといった、エンタメ盛り盛りテイストは残しての2時間半前後にまとめてくる技量を持ち合わせており、ジェットコースタームービー的に上手く編集されている。
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