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ヒンディーとタミルMIXにヒップホップ風味を加えた楽曲満載の『JAWAN/ジャワーン』音楽徹底解説!!

■Jawan Title Track

シャー・ルク・カーンと『ビギル 勝利のホイッスル』『マジック』などで知られるタミル映画界の監督アトリがタックを組んだ、ヒンディー・タミル合作によるボリウッド映画『JAWAN』

アトリが監督することもあり、タミル人の観客も見越して少し強気に出たのか、『PATHAAN/パターン』よりも100館以上多い上映館数でスタートした『JAWAN』ではあるが、見事に610万ドルを稼ぎ出し、全米初登場4位を記録した!!

3位の『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』の待望の続編『My Big Fat Greek Wedding 3』は上映館数が3500以上あるのに対して、興収的には、それほど差がないということからも全米でのインド映画人気が過熱していることがわかるはずだ!!

また今作は”ミュージカル”とうたっていることもあり、近年のボリウッド映画と比べれば楽曲はやや多めといったところ。

全体的にヒップホップ調の曲が目立つのだが、アーティストの名前も見てもそこを目指していたことがわかる。

まず先行リリースされていた「Jawan Prevue Theme」だが、予告のためだけの楽曲ではなく、本編のタイトルトラックとしても使用されていることから、改めて「Jawan Title Track」というタイトルになったものだ。

ダルバール 復讐人』や『マスター 先生が来る!』など、タミルの大作映画の主題歌、とくにラジニカーントとヴィジャイ主演作品の楽曲を多く手掛け、今作の使用曲のほとんどを作曲したアニルーダ・ラヴィチャンダル自ら男性パートを歌っている。

そこにラップパートとして、アメリカのインド系アーティストであり、インドにおける女性ラッパー急増の立役者としても知られ、MTV「ハッスル」の初代審査員、『ガリーボーイ』に実名での出演など、すっかりインドのアーティストとなっているラジャ・クマリがラップパートの作詞とパフォーマンスを担当した。

■Zinda Banda

タイトルトラックと同じくアニルーダ・ラヴィチャンダルがソロで歌う楽曲となっていることもあり、タミル語バージョンはもちろんのこと、ヒンディー語版もドメスティックな香り漂う楽曲となっている。

コレオグラファーとして参加するのは『火花-Theri』『ビギル 勝利のホイッスル』などアトリ監督作品の常連振付師兼ダンサーのショービである。

そしてそんな「Zinda Banda」のダンスシーンで注目してもらいたいのは、シャー・ルク・カーンというのは大前提として、両サイドに立っているプリヤマニ(『サラーム・ヴェンキー』『チェンナイ・エクスプレス 〜愛と勇気のヒーロー参上〜』)とサニヤー・マルホートラ(『わたしたちの愛の距離』『ジャックフルーツが行方不明』)である。

プリヤマニとシャー・ルクのコンビで思い出されるのは、やはり『チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~』の「One Two Three Four」だろう。

大まかではあるが、全体的に同じタミル映画リスペクト作でもあった同作の要素を感じるし、キャスティングも少し意識しているのではないだろうか。

プリヤマニは、近年は演技派女優として高く評価されており、日本のAmazonプライムでも配信されているドラマ「ファミリー・マン」のなかでも秘密を抱える主人公の妻を見事に演じている。

そんなプリヤマニの久しぶりの全力ダンスというだけでも価値があるというのに、それに加えてサニヤーが激しく踊っているということにも注目しないではいられない。

サニヤーといえば、Netflix作品でお馴染みの女優であるが、ダンスシーンのある作品にはあまり出演しておらず、ほかの作品においても全くダンスシーンが無いというわけではないが、ここまでのダンスシーンというのは、かなり貴重といえる。

さらにアーティスト兼女優のサンジータ・バタチャリヤ(『フィール・ライク・イシュク』)もダンスに参加している!!

■Not Ramaiya Vastavaiya

ここまできたらあえて言う必要がないかもしれないが、アニルーダ・ラヴィチャンダルがほとんどの楽曲にボーカルとしても参加している。

アニルーダが参加していることで、タミル色を強める要因として大きく機能しているともいえるだろう。

グジャラート語映画『Lakiro』の「Tu Nathi Ke Tu Chhe」も記憶に新しいヴィシャール=シェカールのヴィシャール・ダッドラニとシルパ・ラオのコンビを起用したうえに、コレオグラファーはヴァイバヴィ・メルチャントという『PATHAAN/パターン』の「Besharam Rang」そのままチームとなっている楽曲だ。

やはりヴァイバヴィは、「出会い」や「再会」における衝動をダンスとして表現するのが上手いコレオグラファーだといえる。

■Chaleya

こちらはヴィクラム(シャー・ルク・カーン)とナルマダ(ナヤンターラ)の、過去のふたりの関係を描いたシーンに使用されている楽曲「Chaleya」

『勇者は再び巡り会う』のような切なさを感じさせるものとなっているが、男性パートをアリジット・シン、女性パートを「Not Ramaiya Vastavaiya」に続きシルパ・ラオが担当。

シルパ・ラオとアリジット・シンのコンビといえば、言うまでもなくボリウッド映画音楽においては、ゴールデンコンビであるが、『フォレスト・ガンプ/一期一会 』のヒンディーリメイク版『Laal Singh Chaddha』の「Tere Hawaale」も記憶に新しい。

そしてこちらのコレオグラファーは振付師でありながら『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』や『ハッピー・ニュー・イヤー』などの監督としても知られるファラー・カーンということもあって、ヴァイバヴィ・メルチャント とあわせてボリウッドを代表する大物コレオグラファーが集結したことになる。

■Faratta

「Chaleya」に続き、アリジット・シンとインディアン(デシ)・ヒップホップ界の帝王バードシャーが男性パートを担当し、女性パートをジョニタ・ガンディが担当している。

ジョニタ・ガンディといえば、アーリヤ・バット主演映画『Rocky Aur Rani Ki Prem Kahani』の「What Jhumka?」やヴィジャイ主演映画『Varisu』の「Jimikki Ponnu」など、南北インド映画を行き来するプレイバックシンガーとしても人気を博しているが、積極的にライブツアーを行ったり、『ガリーボーイ』のモデルとしても知られるラッパーのディヴァインとのコラボ曲「Sitara」を今年の6月にリリースするなど、非映画音楽のアーティストとしても活動している。

ジョニタとバードシャーといえば、ガル・ガドットドウェイン・ジョンソン主演のNetflix映画『レッド・ノーティス』のパワフルなインド版主題歌「Bach Ke Rehna」やアヌシュカ・シャルマランビール・カプール主演映画『心 君がくれた歌』の「The Breakup Song」も名曲だ。

こちらはディーピカー・パードゥコーン(『PATHAAN/パターン』『サーカス』)演じるアシュワリヤーの登場シーンで使用されている楽曲だ。

■Aararaari Raaro

南インドの伝統音楽カルナティックのアーティストであり、 『Maamannan』や『Nitham Oru Vaanam』といったタミル映画のプレイバックシンガーとして活躍するディープシー・スレッシュのソロ曲となっているのが「Aararaari Raaro」。

ポップな曲が多かったなかで、バラード調の曲というのも大きな印象を残すものとなっている。

『Pathu Thala』『Ponniyin Selvan: II』など、A.R.ラフマーンが手掛けた楽曲に参加することも多くなってきており、今後の活躍が注目されるなかで、ずっとボリウッド映画でプレイバックシンガーデビューを夢見ていたディープシーにとっての朗報となったのが『JAWAN』への参加であった。

しかもシャー・ルク・カーンの主演映画というのは、かなりの衝撃であり、ディープシーの歌声は別言語バージョンにおいても吹替えされず、そのまま使用されている。

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