
W.i.S.H.が両A面シングル「Kasoor/Doori」をリリース!“インドのガールズグループ”から、その先へ
2024年の「Lazeez」でデビューして以来、W.i.S.H.は一貫して「インド発のガールズグループ」というアイデンティティを前面に押し出してきた。「Therapy」「Boom Boom」、ラッパーのパンサー(Panther)を迎えた「Bolo Bolo」、さらにはヴィシャール=シェーカル(Vishal-Shekhar)の代表曲を再構築した「Desi Girl」まで、そのサウンドは欧米やK-POP以降のガールズグループ的なダンス・ポップを基盤としながら、ヒンディー語やインド音楽の要素を組み込むことで、“I-POP”の可能性を模索するものだった。
そんなW.i.S.H.が2026年10月7日に発表した両A面シングル「Kasoor」と「Doori」は、どちらもこれまでの延長線上にありながら、グループのフェーズが変わりつつあることを感じさせる一曲だ。
まずは「Kasoor」のミュージックビデオが曲の解禁に合わせて、同日に公開となった。
「Kasoor」でとくに印象的なのがサウンドである。150 BPMという比較的速いテンポを持ちながら、単純に勢いで押し切るダンス・ナンバーにはなっていない。むしろマイナー調のサウンドによって、どこか妖艶でミステリアスな空気を作り出している。
これまでのW.i.S.H.には、キャッチーなフックと振付、4人のキャラクターを一気に提示するような“グループとしての強さ”を打ち出した楽曲が多かった。それに対して「Kasoor」では、個々の声や表情が作り出すムードそのものへと比重が移っている。
タイトルの「Kasoor」は、ヒンディー語/ウルドゥー語で「過ち」「罪」「落ち度」といった意味を持つ言葉だ。つまり、これまでの「Lazeez」や「Boom Boom」のような、タイトルからして明快な高揚感を打ち出す楽曲とは入口から異なる。恋愛感情のなかに生まれる迷いや危うさを扱うことで、W.i.S.H.は従来よりも少し大人びた領域へ踏み込んでいる。
その変化はビジュアル面にもつながっている。これまでのW.i.S.H.は、カラフルな衣装やダンス、4人のケミストリーを強調することで、「新しいインドのガールズグループ」を視覚的にも分かりやすく提示してきた。しかし「Kasoor」では、単に4人が歌って踊ること以上に、楽曲が持つ誘惑や危うさ、感情の揺れを映像へ落とし込もうとしている。つまり、W.i.S.H.そのものを紹介するためのMVから、楽曲の世界観を4人が“演じる”MVへと軸足が動いているのだ。
ここは意外に重要だ。結成当初のW.i.S.H.には、「インドでは久しぶりとなる本格的なガールズグループ」という肩書そのものが強烈なフックとして存在していた。しかし活動を重ねた現在、いつまでもその珍しさだけに頼ることはできない。
「Kasoor」で見えてくるのは、W.i.S.H.が“インドのガールズグループ”であることを証明する段階から、“W.i.S.H.というアーティストは何を表現できるのか”を提示する段階へ進み始めたことだろう。
「Boom Boom」のような華やかなポップ、「Bolo Bolo」におけるヒップホップとの接続、「Desi Girl」におけるボリウッド・ポップの再解釈。その試行錯誤を経た先に登場した「Kasoor」は、W.i.S.H.がより成熟したポップ・グループへ変わっていくための、新たな一歩として位置づけられる一曲なのだ。
そして「Doori」のMV公開がいつかということにも期待が集まっている。


